写真100 初代文部大臣 森有禮と小学校令
それら学校令の中でも、森が最も重要視したのは「小学校令」であった。小学校令は森文部大臣みずから起草したといわれるが、中でも注目されるのは小学校を尋常と高等の二等とし、修学期間はともに四年、尋常四年を義務教育としたことである。同令第三条に「父母後見人等ハ其学齢児童ヲシテ普通教育ヲ得サシムルノ義務アルモノトス」と明記されているが、小学教育を義務と定めたのはこれが最初である。
小学校令の実施に当たって、森は徳育の重視と小学教育の近代化を目指した。森は観念的な知識教育を嫌い、実際に役立つ教育を奨励した。「多識ならしめるより善良の人間を作る」ことを最良とし、方法として「道具責(ぜ)め」の教育を提唱した。道具責めの教育とは、実物や体験を通して学ばせることで、それは教育の近代化にもつながり、教育全般の発展充実に大きく寄与した。