調査ノ結果ハ拾八番(東海健蔵議員)ヨリ報告ノ如キ次第ニテ理事者モ申訳ノ出来サル処ト深ク恐縮ノ外ナシ 然ルニ小野嘱託ハ昨年予算編成ノ当時向後四五ヶ月ニテ完成セント云ヘルモ短日月ニテハ到底不可能ナルヘシト思ヒ一ヶ年ノ余地ヲ存シテ事務ヲ継続セシメタル次第ナルガ爾来市ノ一室ヲ与ヘ、筆工ヲ雇ヒテ進行セシメタルモ容易ニ出来セス 遂ニ約束ノ期間ヲ経過シ三月三十一日後ハ責任上無報酬ニテ私宅ニ於テ執務シ以テ決算期マテニハ是非完成スヘシト誓ヒタルガ遂ニ言行一致セスシテ今日委員会ノ検査トナリタル次第ナリ
写真144 小野士格編弘前市史編纂材料
(写真は全118冊のうち一部)
この後、市会から小野嘱託を法律上の背任行為として処分せよという声が上がるが、市側は刑法上や民法上の問題でなく、道徳上の問題という姿勢だった。
弘前市史は、結局、昭和三十三年藤森睿市長時代、市制施行七十周年記念事業として企画、昭和三十七年に上・下二巻が刊行される日を待たねばならなかった。