十六年四月弘前市内各国民学校に少年団が結成され、この年一月発足した大日本青少年団に加盟した。これまで市内国民学校の中には少年赤十字団や校外自治会が結成されていて、校外における良習慣を自治的に作り上げ、親睦修養に努めてきたが、時局の進展によりそれらを解消して、文部省の訓令に基づく少年団を結成、全国組織の大日本青少年団に加盟したものである。
しかし、大日本青少年団は政府による天下り的な結成で、自治的な活動は許されておらず、政府の御用団体にすぎなかった。いわば戦争完遂のための軍隊予備軍でしかなかった。さらに、十七年一月三十一日、県学務部長から学校長宛に通牒があって、少年団の集会行事などには、大日本青少年団綱領を必唱することになった。左に朝陽少年団の綱領を示す。
我等ハ朝陽少年団員ナリ
一、大御心ヲ奉体シ心ヲ合セテ奉公ノ誠ヲツクシ
天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼シ奉ラン
一、肇国ノ精神ニ基ツキ正大ノ気ヲアツメテ
確固不抜ノ志操ヲ養ヒ力ヲアハセテ大東亜ノ興隆ニ邁進セン
一、身心一体ノ鍛錬ヲ積ミ共励切磋シテ
進取創造ノ力量ヲ大ニシ挺身各其職ヲ務メン
右の綱領は全国共通で、違う箇所は冒頭の一句「我等ハ〇〇少年団員ナリ」だけである。戦時下の教育が個性を抹殺され、権力のもとに一切統制されていたことが知られよう。