昭和九年(一九三四)四月一日、弘前市百石町小路二〇番地に聖ヨゼフ
幼稚園が開園した。聖ヨゼフ
幼稚園はカトリック主義
幼稚園として県内最初の
幼稚園であって、これによって弘前における
幼稚園は六園を数え、本市
幼児教育は一層の充実をみるに至った。同
幼稚園の開設によって、これまで
幼稚園に恵まれなかった付近住民は恩恵を受け、カトリック信者はその子女を入園させた。その特色はカトリック精神に基づく保育により、愛に満ちた正しい人間をつくることにあった。十二年の
日華事変の勃発から十六年の
大東亜戦争にかけて、
軍国主義や
国家主義の横溢に伴って同
幼稚園はしばしば不当な弾圧を受けた。しかし
幼稚園は継続され、戦後の四十一年(一九六六)三月一日に至って「
弘前カトリック幼稚園」と改称された。
写真76 聖ヨゼフ幼稚園園舎新築落成式典記念
昭和十八年(一九四三)三月三十一日、弘前市山道町九番地に
日本聖公会による
明星幼稚園が設置された。「山道町の教会」として市民に親しまれていた
弘前昇天教会の一郭に建てられたものである。
弘前昇天教会は、明治二十九年(一八九六)から弘前市本町に本拠を置いて伝道を開始、同三十三年山道町に教会を設立、三十六年教会付属事業として伝道の目的をもって、子女を対象に裁縫塾が開かれた。その後大正十四年、裁縫塾を聖公会女学院と改称したが昭和五年に廃止、同所に明星保育園を開設した。この保育園が母体となって
明星幼稚園が開園された。同園の開園によって弘前市内の
幼稚園は七園を数えることになった。