平成元年に刊行された『弘前学院百年史』の序説に、聖愛高校が女子高であるのは「将来もこれは変わることはないであろう」とあるが、この予言は見事に外れることになる。
平成六年十月、青森県教育委員会は、翌年の入学選抜試験において弘前中央高校に人文科を新設し、これを男女共学にする旨内示した。四四人の合格者のうち、男子が一〇人を占め、ここに約三〇年ぶりで男子生徒が入学することになった。翌年も男子一〇人の入学があり、さらに、県は、平成九年度からは普通科にも男子の入学を可能にする決定をし、のみならず、弘前高校における男女別定員の設定を撤廃した。
写真205 男女共学となった弘前中央高校(オリンピック出場のソフトボール斉藤春香選手を囲んで)
公立高校における男女共学への流れは私立高校にも飛び火し、弘前東工業校では既に昭和六十三年度から女子も受け入れていたが、東奥義塾高校が九年度から男女共学を復活させたのに続き、弘前学院聖愛高校においても、平成十二年、建学以来初めて男子に門戸を開くこととなった。
こうした流れは、男女共同参画社会の実現という国の施策や世論の動きに対応した全県的、全国的なものであったが、これは、さきの予言も見通せなかった時代の流れであり、弘前中央高校では当初同窓会から強い反対の声があったものの、その流れはとどめ得ようもなかった。
週五日制については、わが国の経済社会の成熟による余暇機会の見直しの動きがあり、平成の初期にすでに一般企業や官公庁では実施されていたが、公立学校については、まず、平成七年度から第二、第四土曜日を休みとする隔週週五日制の段階から入り、平成十四年度に至って完全実施となった。