図書館の新築

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弘前図書館の新築が話題にのぼったのは昭和三十三年春のころで、それも弘前警察署の移転問題に絡んでのことである。そのころ弘前市には弘前警察署のあった一番町の突き当たりから公園濠端へ真直ぐに抜ける新道路(現大通り)の計画があり、市が警察署に代替地を斡旋することになっていた。その市が代替地としていたのは老朽図書館(下白銀町一四番地)の敷地約八百坪である。
 藤森睿市長は市議会全員協議会に諮り、図書館は弘前公園内追手門付近に新築する方針を決めた。ところが、公園は史跡指定地であり、文部省文化財保護委員会の許可を必要とし、また、市の公園管理審議会の意見も聴かねばならなかった。市は両者の意見を採り入れて、「①場所や文化財保護の建て前から、なるべく追手門より離して建てる。②風致をそこなわぬよう建物は二階建とする。③道路や外燈を整備し、利用者の安全を確保する。」という線を打ち出して、文化財保護委員会に現状史跡の変更許可申請書を提出、やっと許可を取るまでこぎつけた。
 図書館の新築工事は昭和三十五年(一九六〇)三月着工、同年十一月竣工、十一月二十九日落成式を挙げ、十二月一日から開館した。新図書館の建設費三〇〇〇万円、内部施設費二五〇万円、計三二五〇万円で、建坪一四八〇平方メートル、構造鉄筋コンクリートに一部ブロック造の二階建てである。各室とも防音、防寒、採光に注意したほか、閲覧室は、一般室(六九席)、学生室(一〇〇席)及び小・中学生室(八六席)の三室が設けられた。

写真213 弘前市立弘前図書館(昭和35年~平成2年)