公労協ストの本県の情況

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この年の十一月二十八日、国鉄五能線で二往復、奥羽線の弘前-大館間で一往復あっただけで、青森駅発着列車は一本も運行されなかった。利用者はほとんどバスで目的地に向かった。青函連絡船も全面欠航、弘前では郵便ストも始まり、集配業務はストップ、二十八日だけで五万通の郵便物が滞った。奥羽線では、大館発午前五時四十分の下り列車が弘前駅で打ち切りのため、弘前発午前六時四十七分の青森行き列車に乗るつもりで来た通勤・通学客約三〇〇人は足止め、さらに北常盤、浪岡、津軽新城の各駅などでも合わせて約二五〇人の利用客が足止めされた。利用客はバスに移り大混雑、しかしバス会社で増発したため大したトラブルがなかった。
 全逓弘前支部は二十七日の当直勤務者からストに突入、二十八日、二十九日は全面、三十日は当直明け勤務者までストを行う。同局には郵便五万通、小包七〇〇個滞り、二十八日は弘前市内の電信為替や書留の集配、相馬・国吉局への輸送を行っただけだった。
 十一月二十九日、弘前駅を発着した列車は五能線東能代-弘前間一往復だけ。開業以来列車の止まったことのない奥羽本線は、初めて一本の列車も走らず全面ストップした。弘前駅は閑散として、午前五時四十五分に発車した五能線東能代行きには乗客はだったの一〇人。待合室にも人影はほとんど見られず、たまに売店や食堂に立ち寄る人がいるだけ。列車利用客は、ほとんどバスや自家用車、タクシーを利用して目的地に向かった。
 十二月一日付の『東奥日報』は、町の声を次のように伝えている。
〔水産〕「もう国鉄職員の顔も見たくない。せっかく売れ行きが伸びて豊漁になったというのにこの長期スト。漁価は下がるし、運搬できないし大損害だ」と浜どころ八戸の魚屋さんたちは一様に憤まんやる方ないといった表情。スト前サバ十キロ当たり六百~七百円したものがスト初日で四百円に下がり、二十九日には半額以下の三百円まで落ち込んでしまった。
〔リンゴ〕スト権スト五日目に入り、出荷の最盛期を迎えた北五地方のリンゴ移出業者は貨車積みは断たれ、頼みのトラックも容易に確保できず、ダブルパンチに悲鳴をあげている。
年間五十万箱の県外出荷をしている北郡板柳町の板柳林檎移出商業協組では、その半分を貨車積みに依存している。スト後、トラック一本に切り替え、一日五、六台の大型トラックを確保、全国の市場に出荷しているが、日を追うにつれ、トラックの確保が困難を極め、このところせいぜい一、二台、しかも運賃は二、三割高く、なかに二倍近くぶんだくるトラック業者も出る始末で、移出業者は泣かされっ放し。(中略)「運賃コストのアップと仕入れ原価の高騰で移出業者は泣きっ面に「ハチ…」と憤まんやる方ない表情。一日も早くスト中止を-と繰り返し強調していた。