新民謡

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明治中期から、大正期までに民謡は全国的なブームになった。それを背景として、大正から昭和初期にかけて「新民謡(創作民謡)」といわれる様式の音楽が起こる。文学における北原白秋、野口雨情、音楽における中山晋平(明治二〇-昭和二七 一八八七-一九五二)などによる《波浮の港(はぶのみなと)》《鉾(ほこ)をおさめて》のような作品である。これは地方主義伝統主義ナショナリズムの融合による文化潮流であり、弘前においても、大正十二年に帰郷した福士幸次郎(ふくしこうじろう)(本章第一節第二項「近代文学の成立(大正の文学)」参照)に感化を受けた芸術家の運動、活動、作品群が現れる。木村弦三(きむらげんぞう)、繁(しげし)兄弟などの業績の一部であるが、これについては後述する。