今治市立図書館/国府叢書・文化財絵はがき

源氏物語図屏風目録

源氏物語図屏風(左隻)浮舟
源氏物語図屏風(左隻)浮舟
源氏物語図屏風(右隻)須磨
源氏物語図屏風(右隻)須磨
(左隻部分)浮舟
(左隻部分)浮舟
(右隻部分)須磨
(右隻部分)須磨
右隻には光源氏を中心とする〈須磨〉および〈明石〉巻からなる場面、左隻には匂宮を中心とする〈浮舟〉巻の場面が描かれている。華麗な装いの女性たちを描かない場面選択は源氏物語の絵画作品としては珍しいものであり、人物描写より情景描写を主とする構図も、山水画などの表現を念頭に置いたものであろうと考えられる。なお、「源氏物語図屏風」は通称で、今治市指定文化財としての登録名称は「紙本著色人物図六曲屏風(しほんちゃくしょくじんぶつずろっきょくびょうぶ)」である。

源平合戦図屏風目録

源平合戦図屏風(左隻)
源平合戦図屏風(左隻)
源平合戦図屏風(右隻)
源平合戦図屏風(右隻)
(左隻部分)熊谷と敦盛
(左隻部分)熊谷と敦盛
(左隻部分)那須与一
(左隻部分)那須与一
(右隻部分)一の谷合戦
(右隻部分)一の谷合戦
右隻に一の谷の戦いを、左隻に屋島の戦いを描く屏風である。右隻には鵯越の逆落とし、平敦盛の最期、左隻には那須与一の扇の的、源義経の弓流しなど、数々の名場面が描き込まれている。悲惨な戦闘の光景ではありながら、残虐な描写はほとんど見られない華麗な画面が展開される。

雲龍図屏風目録

雲龍図屏風(左隻)
雲龍図屏風(左隻)
雲龍図屏風(右隻)
雲龍図屏風(右隻)
雲龍図屏風(右隻部分)
雲龍図屏風(右隻部分)
右隻に吽形、左隻に阿形の龍を配する屏風である。湧き立つ雲、荒れ狂う波をともに描き、躍動感にあふれた画面を形成している。筆の運びやスケールの大きさは、他の永徳作品のイメージに通底するものである。この屏風は両隻とも「州信(くにのぶ)」(永徳の本名)の印を持つ。また、幕末の狩野派絵師・狩野立信(たつのぶ)(または永悳(えいとく))によって描かれた裏面の「波濤図」には「配古永徳法印之墨妙(こえいとくほういんのぼくみょうにはいす)」(永徳作品のすばらしさに添えて)と記されている。

雪景山水図屏風目録

雪景山水図屏風(左隻)
雪景山水図屏風(左隻)
雪景山水図屏風(右隻)
雪景山水図屏風(右隻)
この作品のような〈水墨山水画〉は、禅宗の広がりにともなって愛好されたものであり、狩野派も初期から親しんだ画風である。永徳らの装飾的な山水画を経て、探幽の頃にはいわゆる〈日本画〉的な水墨山水画が確立された。この「雪景山水画」でも墨の濃淡を用いた雪景色の端正な表現が注目される。

中国人物図屏風目録

中国人物図屏風(左隻)
中国人物図屏風(左隻)
中国人物図屏風(右隻)
中国人物図屏風(右隻)
中国人物図屏風(右隻部分)
中国人物図屏風(右隻部分)
右隻の画面中央には雨中の草庵で読書をする高士が、画面左下には傘を差して草庵を訪ねる人物が描かれている。左隻には、湖上に浮かべた舟の上で琵琶を弾く女性と皇帝らしき人物、眠る部下たちの姿が描かれている。中国を舞台としながらも日本的な風情を醸し出す場面選択と、余白と墨のにじみを生かした潤いのある筆使いに尚信の特徴が遺憾なく発揮されている。

琴棋書画図屏風目録

琴棋書画図屏風(左隻)
琴棋書画図屏風(左隻)
琴棋書画図屏風(右隻)
琴棋書画図屏風(右隻)
琴棋書画図屏風(左隻部分)
琴棋書画図屏風(左隻部分)
金を基調とした画面の中に、美麗な衣装をまとった人々を配した、はなやかな印象の琴棋書画図である。〈琴棋書画〉とは、かつて中国において重んじられた知識人のたしなみを指す。背景の配置などに先行する狩野派の作品と共通する部分も多く、先人の作品を学び、技術を保持することを重視した狩野派の姿勢を見て取ることもできるだろう。

【解説協力】今治市河野美術館:愛媛県今治市旭町1-4-8