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(五)堺港

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 【所在】現在の堺港は市の西方にあつて内港と外港とに分れ、【區劃】内港は更らに港口、灣戸となり、灣戸は東方竪川によつて内川に聯絡してゐる。【外港】外港は大阪外港突堤以南、泉北郡濱寺町字石津と同町字濱寺との境に至る海岸をいふ。【内港】内港は港口と灣戸とに分ち、總面積三萬八千五百三十七坪五合を有し、港口は幅員西端六十間、東端灣戸接續部五十四間、其兩岸に護岸工事を施し、護岸の西方に防波堤の設けがある。(港灣狀況調)【防波堤】防波堤は南岸を燈臺防波堤俗に小波止と稱して延長九十間、北岸を北防波堤、俗に北波止を稱して延長六十二間を有し、更らに小波止の南方には一の防波堤があつて之を南防波堤、俗に大波止と呼び延長百二十六間を有してゐる。近來此兩波止の間に埋立事業が開始せられ、小波止の突端には燈臺の設がある。【灣戸】灣戸は船溜で港口の東方に位し、竪川と外港とを繫ぐ直線水路を中心として南北に分ち、南を南灣戸、北を北灣戸といひ、共に半圓形をなしてゐる。【南灣戸】南灣戸には西南隅に延長二十七間、幅員一間一の共同荷上場がある。(港灣狀況調)【北灣戸】北灣戸は東北隅に南海鐵道株式會社經營の延長十七間、幅員一間四の石炭荷上棧橋がある。殊に東南隅竪川口に近く、南より水上警察署堺派出所、堺市入津料徵收所、税關出張所等海事關係の官公衙が列んでゐる。又北灣戸の西南に當る港口北岸の東端より灣戸に向つて突出した一の防波堤があつたが、最近之を取除いた。【吉川俵右衞門碑】北灣戸の西岸大濱公園には當灣開鑿の功勞者たる吉川俵右衞門碑が建設せられてゐる。
 港内の水深は外港干潮面三百間沖合にて十、六百間沖合にて十五、内港干潮面港口にて五、灣戸にて三、甚しきに至つては内港干潮面港底より一低い所さへある。從つて船船の出入は潮汐の干滿を考慮に入れなければならぬ狀態にある。(港灣狀況調)

第百五十九圖版 堺内港圖