昭和三十八年、岩崎隆人、宇田川洋、河野本道、西野彰子による札幌市域の遺跡分布調査の成果が「収録編」・「分布図編」として報告された。これはすでに述べた後藤寿一による調査、『琴似町史』、『豊平町史』等に記載された遺跡を集成し、さらに新しく発見された遺跡を加えたものである。これによると札幌市域には、都心部、発寒川、琴似川の流域、丘珠、南部の平岸より真駒内にかけての丘陵地帯、円山から藻岩山にかけての山麓地帯、白石、西岡から月寒にかけての丘陵地帯、厚別から上野幌、下野幌にかけての野幌丘陵などに合計一一〇カ所以上の遺跡が存在していたことを明らかにした。このように、札幌全市域にわたる遺跡の分布状況を明らかにしたのは、本報告がはじめてであった。
昭和四十三年には、文化財保護委員会から『全国遺跡地図―北海道』が刊行されるが、その内容は、前述の北海道教育大学考古学研究会の成果をそのまま引用したものであって、新たにつけ加えられたものはほとんどなかった。