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札幌県の組織

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 分置された三県は旧開拓使の本支庁をそれぞれ引き継いだものであった。札幌県では県置の十五年二月八日、共に開拓使札幌本庁に在任していた調所広丈(前開拓大書記官)が札幌県令に、佐藤秀顕(前開拓少書記官)が札幌県大書記官に、また辰野宗城(前開拓使御用掛准奏任兼一等警部長)が札幌県警部長に任命された。その後十七年五月府県官職制中に増補された収税長に、森長保(前札幌県収税属)が准奏任として同年十二月二日任ぜられたが、この四人が札幌県の奏任官であった。
 札幌県の十五年三月十六日開庁時の機構は、上局のほか庶務(七係)、勧業(六係)、会計(四係)、租税(二係)、土木(二係)、学務(二係)、衛生(二係)の七課(二五係)であった。その後十七年三月に上局を本局と、六月に租税課を収税課とそれぞれ改称し、また九月に勧業課の二係を分離して地理課を新設した。これらにともないながら各係の改編もみている。十八年中の分課(係)は表3のとおり、一局八課二署三三係であった。
表-3 札幌県分課一覧(明治18年)
本局庶務課本務・職務・文書・戸籍・
兵事・駅逓・編輯・受付
勧業課農務・殖民・水産・工商務・報告
地理課地理・山林
会計課検査・出納・公債・用度
収税課庶務・賦税・収納・地方税・検税
土木課土木・営繕
学務課督学・主計
衛生課保健・医事・統計
警察本署常務・調度
監獄本署
北海道所蔵史料目録』第三集付録より作成。

 札幌県の職員数はその開庁時に、奏任官三、官吏属七三、御用掛准判任官二八、等外出仕二九、御用掛准等外出仕二、雇一九、警部九、警部補二、巡査七三、副典獄一、書記五、看守長一、看守一五の総計二六〇人という(三県分治志通説)。これらの職員は、「三県庁、管理局、屯田事務局ノ三官衙ニ分別シタル所以ハ、全ク開拓使ノ官吏ヲシテ、悉ク継続奉職セシムルノ意ニ出デタリト聞ク」(金子堅太郎 北海道三県巡視復命書)とあるように、旧開拓使札幌本庁管轄のうち他省等移管の事業所所属職員を除いた札幌本庁職員が、ほぼそのまま継続勤務しているものと思われる。