札幌県時代から高まってきた市民の生活環境への関心は、二十年代になってさらに高揚した。そのあらわれの一つが、道路についての不備の指摘や要望である。たとえば馬腹泥濘に没するような道路が何カ所も指摘された。また穴があいた道路や破損した下水の蓋など、改修されない状態が続いていることを指摘し、さらにこのような状態になっている施設への官側の速い対応を要求している。その結果砂利敷工事など道路の改修工事が盛んに行われた。しかしこの砂利採取はさらに豊平川からの無謀な採取を引き起こし、堤防の危機に繋がり新たな問題も生じさせた。
下水については、市中大排水の完成後も市中の排水の悪臭が絶えないのは施設の不備であることが指摘された。そのため恒久的施設として、安い木造の大下水から多少高価であるが石造の大下水へ変更するための相談が総代人会で行われた。また盛んに市民独自に各家からの下水設置が行われている。
屎尿については、まだ肥溜式になっていなかった市中の便所に、大甕を設置しなければ井戸水に悪影響を及ぼすと指摘している。これは、屎尿が地中へしみこみ地下水の中に混入して、市中の浅い井戸を使えなくするというものである。実際に市中では飲料水として使用できない井戸が発生していたようである。そのため二十八年頃からは、各家や公衆便所に大甕を設置し、周辺農民が定期的に汲み取りにくる方法がとられるようになった。これは周辺農民にとっては有機質肥料の確保の問題であった。
現在でも問題になるが、融雪時に雪中のゴミや汚れがあらわれることへの対策も指摘された。そのため区役所を通じて毎年融雪時に清掃法を施行した。それに加え普段からのゴミ処理清掃の励行、大通などへのゴミ捨て場の増設要求などが見られる。