この時期、札幌区は急激な入口増加により初等教育施設の設置が間に合わず、後述するように、それを主要因とした就学率の低下という現象すらみられた。このため小学校の新設が急務とされたが、同時に道庁初期には前述のような方針転換も重なった展開を示した。
　道庁設置当初は、まずその方針による再編の形で行われ、創成学校を尋常科四年の本校とし、藻岩学校を同第一分校、豊水学校を第二分校として統合し、簡易科教則によることとした。ついで明治二十二年、根強い男女別学の風潮により、創成小学校を男子校とし、別に札幌女子小学校を設置して七月十五日に開校式を挙げ、札幌女学校(私立の各種学校)を併置した。また同年創成小学校第一分校を廃止した。しかし二十五年五月の大火で二校とも類焼し、創成小学校はそのままの形で新築したが、女子小は同年十一月校舎を新築し、明治二十八年四月札幌女子尋常高等小学校に改組した。札幌女学校は明治二十四年十二月すでに廃止されていた。また創成小第二分校は二十六年に再び豊水小学校として独立し、二十八年四月に簡易科を改めて尋常科四年とした。同年同月、創成小学校も創成尋常高等小学校となったが、翌二十九年十一月、創成尋常小学校と、同高等小学校に分離された。
　また区内鉄道線路以北については、二十五年に浄土真宗本願寺派太子堂で寺子屋式教育が始められ、これが発展して二十九年七月に私立上守尋常小学校となった。そして三十年五月に仮校舎を以て創成尋常小学校第一分校を設置し、上守小は廃止された。同分校は三十四年に独立して北九条尋常高等小学校となった。
　このほか札幌県師範学校附属小学校は、同師範学校の名称変更により、十九年に北海道尋常師範学校附属小学校となった。なお、二十五年および三十一年の区内公立小学校の生徒数を若干示すと表1～3のとおりである。また、育成学校等については私立学校の個所で述べる。