札幌石材馬車鉄道合資会社は、はじめ三十四年二月に大通西四丁目に資本金四万円で設立された(第一六回北海道庁勧業年報)ことになっている。しかし、この設立年月は後に三十五年十二月と変更された(第一七回北海道庁勧業年報)。活動開始や設立総会などの日付と商業登記日の違いであろうか。さらに四十年七月株式会社に改められ、資本金三〇万円に増資した(第二〇回北海道庁統計書)。それを機会に同会社では、石材採掘と販売のほかに土木建築請負および運送業をも行うことになった。そのため馬車鉄道を敷設することにした。路線は平岸村字穴の沢を起点とし、南一条西九丁目に至り、札幌病院前を通って新川端(現在の西五丁目通)に至り、左折して北海道庁東門前を経て停車場に達するものを一期線とし、九月までには開通の見込とする。さらに停車場より鉄道管理局を左に見て東二丁目に至り、右折して区役所裏を通って南五条東三丁目で左折して豊平橋に至るもの、南一条南二条各東三丁目から西九丁目に至る支線を第二期線として明年に開通の予定とする。停車場と事務所は南一条西九丁目元綿羊場に建設し、客車は毎日午前八時および午後二時の二度出発し、石山からも同様にすることにした(北タイ 明40・4・25)。