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昭和前期の教派神道

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 表7①②は昭和十四年の札幌市内の神道説教所の一覧であるが、諸教派は一五カ所、天理教は四〇カ所を数えていた。大正十一年の表6②を比較して天理教は四倍の激増であり、諸教派も二倍に増えていた。昭和初期は不況、凶作などが続き、大陸では戦端も開かれ暗い時代の谷間へと移行する時代であった。天理教の拡大は暗い世相と大きく揺れ動く人心を収斂したものであったといえよう。
表-7① 神道説教所一覧-諸派- (昭14)
教会名所在地教師名信徒数創設
金光教札幌教会所南8西3西村 茂837戸明35. 9 .15
 同 西札幌小教会所大通西15田作與三治郎137人昭 9 . 4 .12
 同 北札幌小教会所北10東8竹中光一202戸昭 7 .10. 7
 同 東札幌教会所豊平2-5清水末吉150戸大12.10.13
 同 山鼻小教会所南17西7上野勇蔵39戸昭 8 . 7 .13
神習教札幌支教会南8西6可知カネ450人昭 4 . 1 . 2
神習教白石支教会白石川岸5上野ミサ150戸
神道神明会北12東8中村春重202戸昭 2 . 1 . 6
神道大国教会南1西1小沢タツ100戸大 5 .10
御嶽教三太気教会南6東1磯部伊兵衛300戸明44. 6
神理教札幌教会南2西10永野賀津彦177戸昭 2 . 3 . 2
黒住教札幌教会所南2東4後藤真澄320戸明44. 4 .20
扶桑教直轄一等日本魂教日乃本一等分教会南1東6佐藤勇吉171戸昭 2 . 5 .18
神道北海道禊教南10西1添田正治1,038戸明43. 8
神道出雲教会北海道分院南8西4及川政吉620戸昭 9 . 7 .16
教会・信徒数は『社寺関係書類』(昭14)より作成,創設は『札幌宗教関係資料』『札幌市統計一班』『札幌市史』(文化・社会編 昭33)などによる。

表-7② 神道説教所一覧-天理教 (昭14)
教会名所在地教師名信徒数創設
郡山大教会北開支教会創成宣教所南6東2岡田しす104人大 5 . 5
 同    同  北昌宣教所南5西11井上甚吉230
 同    同  北央宣教所南9西10高橋勇次郎362明44. 1 .12
 同 北陸分教会高台支教会東札幌宣教所白石川岸4北森すゑ415昭 4 . 1 .27
 同 桃園分教会北開支教会大通宣教所大通西13広島貞吉452昭 4 .10
 同 秋都支教会北秋豊宣教所豊平4-5阿部辰治113昭 4 . 7
湖東大教会白当宣教所白石8-1鎌瀬千代吉450大14.12. 3
 同  幌道宣教所北12東13菅原庄太郎250昭12. 6 . 4
南海大教会雨竜分教会豊平宣教所豊平川岸1上原清五郎403明44. 5 . 4
 同  同  新十津川支教会雨陽宣教所南18西9新谷好一403
豊岡中教会札幌宣教所北18西6木岡吉次郎735明42. 5 .17
兵神大教会夕張分教会北弘宣教所北5東7千葉のぶゑ222大13. 9 .22
 同   同    長沼宣教所南5西5千葉由野590明45. 4 . 4
 同        幌都宣教所南18西12木田羊作大14. 2 . 9
嶽東大教会舘山分教会網走支教会陽光宣教所南3西14桐谷泰三365大15. 1 .18
敷島大教会北海分教会北3西13山本長武250明26.12.10
 同  北海分教会北栄宣教所白石1-1武田梅太郎230大12. 2 . 2
 同    同  北隆宣教所北7東7伊藤 寛420大12. 1 .16
 同    同  北道宣教所豊平3-10沢谷真一270明34. 7 . 3
 同    同  北昌宣教所南5西11川上十郎大12.11.11
名東大教会愛知分教会幅下支教会幌北宣教所北18東1小島新之助557
 同 小牧分教会茅部支教会南札幌宣教所南13西16逢見為三郎356昭11. 6 .12
水口大教会南部分教会北奥支教会北拓宣教所北10東9上原子與助250昭12.11.27
 同 上川分教会北都支教会北9東3中村専治郎520明37. 3 .26
山名大教会城東分教会城明宣教所北13東8後藤長三郎405大13.11.23
高安大教会洲本分教会統北支教会南3西9山本角蔵明41.11.22
 同    同   同  北京宣教所南7西12桑山徳治541昭 3 .10
 同    同   同  統典宣教所北12西4渡辺亥之助昭 3 .10.16
 同    同   同  札和宣教所北3東5伊月チヨ昭 3 .10.16
 同    同  胆振支教会胆照宣教所南10西8中野秀雄昭 3 .10
教会名所在地教師名信徒数創設
新潟分教会北宝宣教所南14西7中川常平145人大 5 . 4 .25
 同   新北州宣教所南8西3吉野信之239大14.11. 7
 同   新桑園宣教所北4西20斎藤大治郎432昭 3 .10.16
中河大教会北養宣教所南4西6富藤栄五郎480明42. 3 . 3
 同   養樹宣教所南5西9津藤栄七280大14.11. 7
甲賀大教会北札幌宣教所豊平2-6大阪義雄65大14. 8 .12
 同  蒲春教会紋鼈教会暁星宣教所南2西18二瓶喜一郎106戸昭12.12.17
中和大教会北星宣教所北13西2中辻与作明43. 2 . 2
教会・信徒数は『社寺関係書類』(昭14)による。届出のない教会については『天理教会名称録』(昭10.5)より補充。創設は『天理教教会名称録』(平5)を基礎とし,一部を『札幌市史』(文化・社会編 昭33)から補充した。

 一方では、天理教や各教派神道でもこの時期に、戦時に対応した祭儀が多くみられてくる。たとえば、金光教の札幌教会所では八年二月十一日に、紀元節祭並びに在満皇軍武運長久祈願祭、出征家族慰安・信徒慰安大会を開き、十一年七月に金光教、神習教教会で国運隆昌祈願祭、さらに十二年八月に両教会で国威宣揚祈願祭を行っていた。天理教でも九年九月十八日に北海道教務支庁主催で戦病没将兵弔慰祭が行われ、十五年七月五日に紀元二六〇〇年奉祝記念北海道大会がともに市公会堂にて開催されるなどしており、戦時体制下における国策協力が教派神道の大きな役割となっていたのである。