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災害の発生

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 札幌市の火災発生件数および焼失面積は、表22によってみることができる。出火件数は、昭和のはじめにやや多いものの、十年代に入るとさらに一〇〇回以上と増加傾向をみせる。焼失戸数は昭和二年の一六七戸がもっとも多く、焼失面積も大正十四年に次いで二番目に多くなっている。損害価格も大正十三年の場合のように一〇八万円をこえたこともあるが、平均すると二〇万から三〇万円の損害を出していたことになる。札幌市の火災は人口一六万(昭和二年段階)の都市のなかでも発生件数は多い方であった。これについて、札幌消防組向井組頭は、一月以来「七ヶ月間に八十五回(市内出火七十八回、豊平町札幌村、藻岩村を合して七回)、二日半に一回の出火率はおそらく全国都市中第一位でしょう(中略)それに昨今の乾燥と風は誠に恐怖に堪へません」(北タイ 昭3・8・2)と語っている。この原因は、冬期の炬燵・ストーブからの発火や春先の風による延焼が一度に多くの罹災者を出すといったことによるものであった。昭和五年四月十七日大通東一一丁目から出火した火災は、二五棟三八戸を焼失させ、約三万五〇〇〇円の損害を与えた。この時二五聯隊も消火にかけつけた(北タイ 昭5・4・18)。
表-22 札幌市火災発生件数および焼失面積
件数焼失戸数焼失面積損害価格
大1161回98戸1,368坪306,668円
 12251132,831132,062
 1341581,7771,082,012
 14172526,964477,046
昭元691072,230127,595
 2821674,834280,075
 3301513,480248,404
 427521,595103,105
 5241132,569101,987
 625741,43629,977
 727661,75596,615
 823621,071363,117
 927441,77092,212
 10962683627,235
 11101431,28043,839
 12108762,461103,480
 13118821,91161,683
札幌市統計一班』より作成。

 災害は、火災によるばかりでなく、大洪水にもしばしば見舞われた。大正十五年十月一日からの豪雨により豊平川は三・六メートルの増水となり、定山渓温泉街に大打撃を与えた(北タイ 大15・10・3)。
 さらに、昭和七年八月以来豪雨が北海道地方をたびたび襲い、各河川の大氾濫によって石狩川流域は大洪水をひきおこし、田畑の被害は九月十四日現在九万六〇〇〇余町歩、被害総額約一五〇〇万円にものぼった。この時、札幌市外篠路村でも田畑が甚大な被害を蒙り、この年水害凶作となった(北タイ 昭7・9・15、10・22)。