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兵事業務

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 市役所には兵籍課兵事係が置かれ、市民の動員、徴発、召集、徴兵検査、壮丁検診、志願兵、簡閲点呼等の事務調整を行った。その報告書には「雑件」の欄があり、これによって札幌市における兵事業務が多様化していった一端を知ることができる。毎年分を紹介するのは煩雑に過ぎるので、大正十三年(一九一四)と昭和九年(一九二四)を抽出し、一〇年間の変化を知る手がかりとしたい。
 〔大正十三年札幌市事務報告〕
(1)二月十七日十八日ノ両日、函館重砲兵大隊観測弾演習ノ為メ、札幌豊平町宿営ニ付キ、在郷軍人ト協力シ、宿舎其他ニ就キ諸般ノ便宜ヲ与ヘタリ。
(2)三月二日、第七師団スキー隊長途行軍途次、大通ニ於テ戦闘演習実施終了後、桑園地域内宿営ニ付キ、在郷軍人会青年団等ト協力シ、宿舎其他ニ就キ諸般ノ便宜ヲ与ヘタリ。
(3)六月一日ヨリ十二月三十一日ニ至ル間、数回ニ亘リ、第七師団ヨリ薩哈嗹洲派遣及同帰還ノ各部隊発着並ニ通過ニハ、其都度駅頭ニ送迎シ、就中歩兵第二十五聯隊ヨリ出発ノ混成中隊及同帰還隊ニ対シテハ、将校ヲ豊平館ニ招待シ准士官以下ニハ酒肴ヲ贈リタリ。
(4)六月二十八日二十九日ノ両日ニ亘リ、帝国海軍特務艦膠洲乗込員瀬戸海軍少佐以下九十八名来札、市内視察上ニ関シ案内其他諸般ノ便宜ヲ与ヘタリ。
(5)八月十四日、聯合演習ノ為来札セシ立川飛行隊将校以下二十九名ハ、同月八日ヨリ二十一日迄滞札、此間宿舎其他ニ就キ諸般ノ便宜ヲ与ヘタリ。
(6)十一月六日、当所楼上ニ於テ、本市出身入営兵及帰休除隊兵全部ノ送迎会ヲ催シタリ。

 〔昭和九年札幌市事務報告〕
(1)満洲出動軍人歓送迎会開催。
(イ)一月三十一日、満洲へ出動シタル歩兵第二十五聯隊準士官以上ヲ市公会堂ニ招待シ、之ニ一般市民ノ参加ヲ求メ壮行会ヲ開催シ、下士官兵ニ対シテハ酒肴料ヲ贈呈セリ。
(ロ)二月二十六日、混成第十四旅団長トシテ満洲へ出動シ凱旋シタル平田少将ヲ豊平館ニ招待シ、官民合同歓迎会ヲ開催セリ。
(ハ)二月二十七日、混成第十四旅団ニ編入満洲へ出動シ凱旋シタル、歩兵第二十五聯隊坂本大隊将兵六百名ヲ市公会堂ニ招待シ、之ニ一般市民ノ参加ヲ求メ歓迎会ヲ開催セリ。
(ニ)六月六日、歩兵第二十五聯隊留守隊ヨリ北支那守備隊トシテ派遣セラレタル、松岡中隊将兵百五十名ヲ市公会堂ニ招待シ、之ニ一般市民ノ参加ヲ求メ壮行会ヲ開催セリ。
(ホ)右ノ外出動部隊要員補充ノ為、十数回ニ亘リ出発シタル将兵ニ対シテハ、其ノ都度適宜ノ方法ニ依リ壮行ノ意ヲ表シタリ。
(2)三月一日、満洲国皇帝登極ノ大典当日、市公会堂ニ於テ記念講演会ヲ開催セリ。
(3)三月十日、第二十九回陸軍記念日ニ当リ、歩兵第二十五聯隊留守隊ニ於テハ、市青年訓練所生徒、札幌師範学校生徒ト合同ニテ、市内ニ於テ記念演習実施、引続正午ヨリ市公会堂ニ於テ官民合同祝賀会開催、更ニ同夜六時三十分ヨリ同所ニ於テ記念講演会ヲ開催セリ。
(4)五月二十七日、第二十九回海軍記念日ニ当リ、正午ヨリ市公会堂ニ於テ官民合同祝賀会、午後四時ヨリ豊平館ニ於テ海軍省関根海軍大佐ヲ聘シ海軍問題座談会、午後七時ヨリ公会堂ニ於テ同氏ノ記念講演会ヲ開催セリ。
(5)六月九日、各務ケ原飛行隊ヨリ飛行訓練ノ為、飛行機三機飛来ニ付、諸種ノ便宜ヲ与ヘタリ。
(6)七月三日、五日ノ両日、野砲兵第七聯隊留守隊ノ一部隊、本市苗穂駅附近へ宿営ニ付、設営其ノ他ニ関シ諸種ノ便宜ヲ与ヘタリ。
(7)七月十八日、小樽入港ノ大湊防備隊所属敷設艇黒埼、芦崎ノ乗組員本市見学ノ為来札ニ付、諸種ノ便宜ヲ与ヘタリ。
(8)八月二十六日、所沢飛行隊所属飛行機六機、飛行訓練ノ為飛来ニ付、諸種ノ便宜ヲ与ヘタリ。
(9)九月十二日、下志津陸軍飛行学校所属三機、飛行訓練ノ為飛来ニ付、諸種ノ便宜ヲ与ヘタリ。
(10)九月十八日、満洲事変勃発三周年記念日ニ付、左ノ記念催ヲナス。
(イ)午前十時ヨリ札幌招魂社ニ於テ、満洲事変三周年記念報告祭並ニ出動将兵武運長久祈願祭執行(札幌招魂社主催)。
(ロ)正午ヨリ市公会堂ニ於テ、満洲事変戦病死者弔慰祭執行(天理教北海道教務支庁主催)。
(ハ)午後三時ヨリ東本願寺別院ニ於テ、満洲事変戦病死者追悼会執行(札幌仏教各宗聯合会主催)。
(ニ)午後六時三十分ヨリ市公会堂ニ於テ、記念講演会開催(札幌市役所、札幌聯隊区司令部北海道国防義会共催)。
(11)十月十七日、第七師団秋季演習参加部隊約三千余名本市へ宿営ニ付、設営其ノ他ニ関シ諸種ノ便宜ヲ与ヘタリ。尚同夜留守司令官外各団隊長以上及師団幕僚ヲ幾代ニ招待シ、一般官民ノ参加ヲ求メ歓迎会ヲ開催セリ。
(12)十月二十三日、逓信省委託航空練習生ノ操縦スル霞ヶ浦海軍航空隊所属飛行機四機、訓練飛行ノ為飛来ニ付、諸種ノ便宜ヲ与ヘタリ。
(13)十月二十四日、市公会堂ニ於テ、本年度入退営者送迎会ヲ開催セリ。
(14)十二月二十六日、当所楼上ニ於テ、昭和六年乃至九年事変ノ功ニ依リ勲章ヲ賜リタル、本市出身清水吉夫以下九十五名ニ対シ、勲章伝達式ヲ挙行セリ。
(15)出動軍人遺家族慰問救恤ニ就テ
(イ)本市ニ於ケル出動軍人家族ハ現在二百五十戸、遺族ハ十二戸(日支事変ニ依ルモノ)ニシテ、五月十九日、九月十五日ノ二回市公堂ニ遺家族全部ヲ招待シテ慰安会ヲ開催セリ。
(ロ)出動軍人遺家族中生計困難ノ為、軍事救護ヲ受ケ居ルモノ現在十戸、軍人後援会ヨリ保護ヲ受ケ居ルモノ九戸、其ノ他市民ヨリ募集シタル遺家族慰問金ヲ以テ、毎月定期救恤ヲ為シ居ル者十一戸ニシテ、軍事救護、軍人後援会ト三者相俟テ遺家族ノ慰問救恤ニ関シ万遺憾ナキヲ期セリ。尚歳末ニ際シテハ特ニ救恤ノ範圍ヲ広メ、総員五十四戸ニ対シ特別救恤ヲ為シタリ。