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札幌都市計画地域

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 札幌市の都市計画地域は図3の通りである。その地域の設定の理由では、まず地勢風向を述べた後に、次のように現状をあげて、大体の地域割り方針を述べる。
今其ノ地域ニ付按スルニ、市ノ中央部ハ街衢整ヒ、交通ノ便備ハリ、商賈軒ヲ並へ、官衙、銀行、会社此処ニ集レルヲ以テ、市街発達ノ現状ニ鑑ミ、之ヲ商業地域ノ定ムヘク。苗穂、豊平方面一体ノ地ハ、鉄道沿線ニシテ運輸ノ便開ケタルノミナラス、本市ノ主要工業タル麦酒、亜麻、煉乳等ノ大工場存在シ、土地利用ノ現状ヨリスルモ、之ヲ工業地域ト定ムルヲ適当トスヘシ。市ノ南部藻岩山麓ニ連ル一帯ノ旧山鼻方面ハ、豊平川ノ清流ニ莅ム景勝ノ地ニシテ、果樹、園芸ニ適シ、高燥閑静ニシテ、土地ハ主トシテ住宅ノ用ニ供セラルルノ現状ニ在リ、又之ニ続ク市ノ西部桑園方面及北部ニ於ケル北海道帝国大学所在地方面モ亦、風物快適ニシテ住宅地トシテ開発セラレツツアルノ情勢ナルヲ以テ、是等ノ区域ハ住居地域ト定ムルヲ可トスヘシ。

 このような大体の方針により、さらに実状に適応させる工夫として、将来にかかわる地域割りを次のようにする。
即チ桑園停車場附近一団ノ地ハ、将来ノ発展ヲ予想シ、之ヲ商業地域トナスヲ適当トスヘク。尚住居地域内ニ存在シ又ハ計画決定セル主要街路ノ両側ニ於ケル建築物ノ敷地ハ、之ヲ商業地域トシテ配在セシムルヲ以テ日常ノ利便ニ備へ、且土地利用上実情ニ適セシムルモノナリ
(公文雑纂 巻46 昭8)

 そして、札幌での街路計画が未成立であるとして、路線式商業地域の設定を現在の主要道路の一部に止め、その他は街路計画決定後に行うとした。さらに競馬場北方の市営屠殺場については、未指定地と定めたという。その結果、各地域の面積は表8のようになった。
表-8 都市計画地域地種別面積
地域種別利用面積利用面積に対する割合
商業地域1,090,000坪15.4%
工業地域1,629,40022.9
住居地域4,368,50061.5
未指定地12,7000.2
7,100,600100.0
『公文雑纂』巻46(昭8)より作成。

 この後、昭和十七年三月三十一日札幌都市計画地域中変更の件が内務大臣湯沢三千男から内閣総理大臣東条英機へ内閣認可が申請され、四月十五日認可され、北海道庁と札幌市役所で図面縦覧が告示された(内務省告示第六一四号 官報第四七二五号 昭17・10・8)。これは、昭和九年の札幌村の一部の編入と昭和十六年の円山町全域の編入により、この地域の都市計画地域の指定を受けることと、都市計画街路決定により一部既定地域の変更をしようというものであった。さらに札幌が最近工場の設置が激増して、工業地域が飽和状態になったとして、工業地域の追加指定と、円山町方面を住居地域に指定することにした。また日常生活の利便のため、都市計画街路中の幹線街路線を選び路線的商業地域に指定し、円山町の一部は未指定とするというものである(公文雑纂 都市計画15 巻124 昭17)。