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都市計画事業の反響

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 しかし、この都市計画事業の実施は思わぬところから問題が起こった。一つは西四丁目道路の拡幅工事について、十二年一月札幌市当局では、間もなくオリンピックの開催もあり、次の市会で三カ年継続事業として実施する見込みであった。このことを知った商店街が、生活に脅威を与えるとして反対した。そして二十四日、日本生命保険会社楼上において街路拡築反対期成同盟会を設立した。陳情書を作成し、同盟会長は道庁長官、市長、警察署長と会見し陳情書を手渡すことになった。その理由として、第一に店舗切り取りで小住居化し、密集的家族生活となり、結核の増加や風紀上不良現象が起こる。二に現在の二〇メートル道路は強風で塵芥が吹き荒れることが懸念される。三に現在でも狭いことが原因の交通事故は少ない。四に重工業が発達してトラックその他の交通量激増は予想できない。五に市の計画案は路面舗装であるにもかかわらず、少数の都市計画委員によって理想案として決定されたものに過ぎない(北タイ 昭11・1・26)。この五つが反対理由であるが、都市計画行政の理想とすることとは真っ向から対立する理由である。この要望のその後の経緯は解明できなかったが、行政側が行う都市計画による都市整備に対して、大きな不信感を持っていることの現われの一つであろう。
 もう一つは、都市計画区域内の隣村藻岩村から起こった。十一年十月、藻岩村村会議員高田金之助ら一〇人が村会招集を請求した。それは、北一条参宮路路面改良工事費負担方法は合理的でないので関係行政庁へ意見書を提出する件、右工事負担軽減を期するため交渉委員選任に関する件を審議するためのものであった。路面改良工事に伴う受益者負担規定に関する異議であった(北タイ 昭11・10・23)。村側は法令によることで如何ともしがたく、舗装する道路の沿革や受益者と住民の担税力について各議員の意見を聞いて意見書を作成して、道庁並びに内務省へ提出するための村会を十一月九日開催するとした。しかし、反対者側は村の負担一万余円、受益者にて一万余円、合計で二万数千円を負担するのは法令であっても不合理であるとした(北タイ 昭11・11・8)。この問題に関連して、札幌市による意見書の拒否や、藻岩村反対者らの民事訴訟を起こすことの表明、補助金の配分問題、さらに藻岩村の財政問題による負担金の不払い、藻岩村合併の促進などまで話題となった(北タイ 昭11・11・15、18、20。12・9、20、22、26。昭12・1・30、4・18)。しかし十二年の日華事変勃発により、石狩支庁長の斡旋で「時局に鑑み平和裡に一切を解消し」て、今後は一致協力することになった(北タイ 昭12・10・17)。