ビューア該当ページ

主要銀行の業績と銀行合同

479 ~ 483 / 1147ページ
 表26に拓銀の主要勘定をまとめた。まず、貸金の原資たる拓殖債券だが、発行残高は停滞ないし減少の傾向にあり、十八年五月に第二七四回を発行したのを最後に発行を打ち切られた(北海道拓殖銀行史)。表によると、拓殖債券発行高は、十二年には預金残高とほぼ等しかった。これが十三年以降預金の伸びに引き離されて、十七年下期には一対五の比率になっている。預金を貸金原資とする預金銀行へ転化しているといえるだろう。拓殖債券の減に伴い、貸付金中の年賦償還(十六年三月の拓銀法改正により割賦償還と改められる)も減少した。貸付金勘定と割引手形勘定を比べると、十四年下期に後者が前者を凌駕し、短期貸に比重を移した。十八年上期以降は、勘定科目の変更により手形貸付が貸付金勘定に含まれている。このように、戦時期には拓銀の本来的使命であった不動産抵当長期貸付業務は、完全に後景に退き、全くの商業銀行・普通銀行としての性格を全面的に発揮するに至ったのである。
表-26 北海道拓殖銀行の主要勘定 (単位;千円,%)

昭和
払込済資本金(A) 拓殖債券(B) 預金勘定(C) 当期利益金(D) 有価証券勘定(E) 割引手形勘定(F) 貸付金勘定 小計(G) 預貸率
(F)+(G)
/(B)+(C)
預証率
(E)
/(B)+(C)
払込資本金利益率
(D)/(A)
年賦償還 定期償還
12上 12,500 121,715 108,993 684 23,361 82,550 119,746 11,248 135,987 94.7% 10.1% 5.5%
12下 12,500 119,102 121,202 684 23,361 99,274 117,217 10,303 131,833 96.2 9.7 5.5
13上 12,500 117,206 133,468 691 25,336 102,033 114,818 13,678 133,927 94.1 10.1 5.5
13下 12,500 104,764 163,571 753 33,556 119,470 113,195 13,314 132,855 94.0 12.5 6.0
14上 12,500 101,201 186,072 777 43,887 122,022 109,223 14,640 130,474 87.9 15.3 6.2
14下 12,779 98,479 259,585 790 61,937 180,454 107,681 12,673 131,542 87.1 17.3 6.2
15上 12,799 94,116 283,093 853 74,766 184,349 103,977 13,756 134,855 84.6 19.8 6.7
15下 12,799 93,434 355,960 1,013 87,118 255,254 99,808 15,101 130,573 85.9 19.4 7.9
16上 12,799 109,869 373,130 993 103,152 240,064 95,477 17,345 130,667 76.8 21.4 7.8
16下 12,799 102,739 443,412 1,081 126,888 266,007 93,278 18,296 127,872 72.1 23.2 8.4
17上 12,799 100,399 488,525 1,091 167,233 267,844 89,637 16,423 123,616 66.5 28.4 8.5
17下 12,799 101,584 528,372 1,100 196,034 307,212 88,064 24,114 133,042 69.9 31.1 8.6
18上 12,799 99,535 553,705 1,257 227,073 6,874 85,364 24,217 429,808 66.8 34.8 9.8
18下 15,477 95,775 692,688 1,404 275,516 7,591 84,960 24,073 470,247 60.6 34.9 9.1
19上 27,324 93,058 1,257,046 1,630 618,891 25,620 79,759 30,318 656,394 50.5 45.8 6.0
19下 27,324 90,937 1,560,374 2,085 777,270 8,570 76,076 43,935 754,872 46.2 47.1 7.6
20上 28,324 86,809 2,048,801 1,830 1,059,110 6,160 70,629 215,843 872,216 41.1 49.6 6.5
20下 28,324 80,862 2,394,380 1,269 1,085,768 3,737 60,655 242,582 962,508 39.0 43.9 4.5
北海道拓殖銀行『北海道拓殖銀行史』(昭46)より作成。

 預貸率は低下し、預証率は上昇した。これについて、『北海道拓殖銀行史』は「貸出は、取引先に平和産業が多かったため、預金ほどには増加せず、したがって預金の過半は国債の購入に向けられ、当行も地方銀行や貯蓄銀行と同様に、国債投資機関としての性格を強めていったのである。」と説明している。確かに、十九年以後はこのように評価してもよいだろう。しかし、全国の普通銀行預貸率は、十六年下期五七・〇パーセント、十七年下期五三・八パーセントと拓銀を大きく下回っており、十八年下期に六〇・七パーセントと同等になった(満州事変以後の財政金融史)。地方銀行が融資先に悩んでいたのに比べ、少なくとも十八年までの拓銀は、貸出を積極的に展開しえたといってよいだろう。しかし、十八年十月の軍需会社法以降は、日本興業銀行および五大銀行(帝国、住友、三菱、安田、三和)の独壇場となり、軍需会社金融における拓銀など地方所在銀行の出番は少なくなった。
 表27は限られた資料ではあるが、北門銀行の営業状況を掲げた。表示した期間に定期預金をはじめとする預金が増加したが、貸出は微増にとどまり、預貸率は大きく低下した。これを有価証券投資と預ケ金に向けていた。十四年十月には拓銀と北門との合併が合意に至り(北タイ 昭14・10・17)、十二月十五日に合併した。これにより拓銀は、払込資本金二七万八〇〇〇円を増加し、一九店舗を新たに加えることができた。
表-27 北門銀行主要勘定 (単位;千円)
昭12下 昭14上
資産の部
証書貸付 10,487 9,886
手形貸付 6,994 8,081
当座貸越 952 1,279
商業手形 1,010 1,455
荷為替 113 152
預ケ金 3,808 11,247
国債 1,157 2,231
社債 299 600
株式 471 1,127
合計 30,295 41,808
負債の部
払込済資本金 786 786
準備金・積立金 721 748
当座預金 7,285 9,984
特別当座預金 5,633 8,362
定期預金 11,573 17,265
借入金 2,000 2,090
当期利益金 106 110
払込資本金利益率 13.5% 14.0%
預貸率 78.3% 57.9%
預証率 7.8% 11.3%
北門銀行『第84期業務報告書』『第87期業務報告書』(北海道拓殖銀行蔵)より作成。

 表28に北門貯蓄銀行の主要勘定を掲げた。貯金吸収を使命とする貯蓄銀行だけあって、表示した期間内に預金は五・八倍化した。貸金は横ばいで、有価証券投資が著しく増えた。なお、十四年二月十一日から名称を北海貯蓄銀行と改めている。十八年八月から普通銀行の貯蓄銀行業務の兼営が認められ、政府は地方貯蓄銀行と普通銀行との合併を勧奨した。拓銀は、当初、北海道・樺太における貯蓄銀行の存続を希望したが、二十年一月に九大貯蓄銀行の合併が発表されるにおよんで、北海貯蓄の合併を決意した。二月二十日合併契約を締結し、五月十四日吸収合併となった(北海道拓殖銀行史)。
表-28 北門貯蓄(北海貯蓄)銀行主要勘定 (単位;千円)
昭12下 13下 14下 15下 16下 17下 18下
資産の部
貸付金 979 1,061 998 990 1,260 1,614 1,833
国債 4,167 6,482 9,721 16,403 20,227 30,776 44,869
地方債 476 505 1,040 1,297 1,531 1,661 1,635
社債 3,676 4,536 7,086 8,135 10,014 12,023 16,031
株式 1,979 2,564 3,398 3,844 3,945 4,934 5,875
銀行預ケ金 1,091 1,196 982 1,001 2,020 1,849 1,180
合計 13,948 18,092 26,294 35,267 42,782 56,819 76,952
負債の部
払込済資本金 350 350 350 350 350 350 350
準備金・積立金 134 162 193 233 282 320 400
普通貯金 3,579 4,785 7,892 11,478 14,374 17,354 24,550
据置貯金 7,722 10,428 15,289 19,976 23,742 33,423 45,572
定期積金 1,583 1,765 1,888 2,459 3,164 3,982 4,772
定期預金 134 120 138 124 143 451 156
当期利益金 67 71 79 90 99 104 125
払込資本金利益率 19.1% 20.3 22.6 25.7 28.3 29.7 35.7
預貸率 7.5% 6.2 4.0 2.9 3.0 2.9 2.4
預証率 79.1% 82.6 88.8 93.2 93.0 94.7 94.7
北門貯蓄(北海貯蓄)銀行『業務報告書』各期(北海道拓殖銀行蔵)により作成。

 道内最大の普通銀行である北海道銀行は、十六年九月十五日の臨時株主総会において北海道殖産銀行北海道商工銀行泰北銀行の合併を承認した(北タイ 昭16・9・16)。政府は、一県一行主義に基づき、北海道においては拓銀に一本化する方針であり、十九年六月九日拓銀、道銀の合併契約が締結され、九月一日に合併した(北海道拓殖銀行史)。このようにして、北海道に本店を有する銀行は、すべて拓銀に合併されたのである。
 なお、内地銀行は、日中戦争前には安田銀行札幌支店が昭和三年一月に設置された。戦時期には、十二年十一月、日本興業銀行(興銀)北海道支店が札幌に置かれ、これまで拓銀が行ってきた商工組合中央金庫札幌支所業務を引き継いだ。小樽に支店(昭11・11設置)を置いていた横浜正金銀行が十七年五月に札幌に出張員事務所を置いた(北海道拓殖銀行 北海道金融機関沿革史)。