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昭和六、八年の争議

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 昭和六年に入っても、小作料の減免を拒否する村側の意志は強く、小作代表も三月から四月にかけて嘆願を繰り返している。そして同年九月二十五日、前鼻松次郎達が交渉の結果、反当り六円六〇銭の小作料とすることで合意したのである。こうした経過からみる限り、村側は本来一〇円の小作料を八円に引下げたにもかかわらず、さらにそれを一円四〇銭も下廻る金額で妥結したことになり、小作側の勝利に終わったといっても過言ではない。
 昭和八年にもこの問題は再燃した。同年十一月二十四日、小作人代表の四人は、佐藤村長宛に次のような「嘆願書」を提出した。
   嘆願書
 去ル昭和四年小作契約ヲナセル藻岩村有学田地ノ小作料ハ、田ハ一反歩金拾円、畑其他ハ一反歩、金一円ト相定メ、契約ヲ御願セルモ、当時ニアリテハ、米価モ石二拾六円前後ナリシニ、其後ハ暴落ニ次グニ暴落ヲ以ッテス。経済界モ暫次不況ノ度ヲ加へ、其上二ヶ年モ打続ク凶作ノ為メ我等小作人ノ疲弊甚ダシク、到底契約ノ小作料ヲ納付シ難キ惨状ニ立到レリ、依テ希クハ我等小作人ノ窮情ヲ御憐察成シ下サレ、今年度ヨリ、田、畑、其他ノ小作料ヲ、近隣ノ手稲村有学田地、若シクハ琴似村有学田地並ニ御取立相成ル様、小作契約ヲ御変更相成度、此段嘆願ニ及候也
 昭和八年十一月二十四日
             藻岩村学田地小作人代表
                   斎藤健次郎 印
                   南部与作  印
                   前鼻松次郎 印
                   斎藤銀蔵  印
   藻岩村長 佐藤正三郎殿
(藻岩村 村会関係書類 昭8)


写真-13 小作料減免の嘆願書(昭8.11.24)

 このような嘆願を受けた藻岩村では、結局昭和八年度の小作料を、本来一〇円の契約のところ七円に減額した。