『北大文芸』の大正末から昭和初期にかけての編集には、当時勃興した社会主義思想の影響があらわれているが、札幌で創刊された札幌自由聯盟社の『否定』(大13・6)、札幌無産人社の『無産人』(大14・5)のあとを受けて、昭和三年七月には『角笛』が創刊された。創刊号の内容は「プロレタリア文学を護る立場から」(後藤久夫)、「ジャーナリズムの横暴と熱意のない文壇」(矢島淳三)という評論と、プロレタリア作家として活躍した新井紀一の創作が載っている。巻末に「札幌文芸協会規定」が載っており、地方にも中央の文学運動が波及していたことがわかる。演劇を中心とした先駆芸術社の『先駆芸術』も昭和三年九月に札幌で創刊された。
昭和五年には九月に品川義介編集の『野人の叫び』が創刊された。十二月には佐々木俊郎編集の『北方時代』が創刊され、高倉新一郎や佐藤昌介が執筆している。