ビューア該当ページ

『北大文芸』の詩

967 ~ 967 / 1147ページ
 『北大文芸』は伊藤秀五郎、佐藤義臣、相川正義などが大正の末から昭和にかけて秀れた詩を載せていたが、昭和三年には伊藤秀五郎の『風景を歩む』と相川正義の『雪と麵麭』という二冊の詩集が刊行された。昭和三年七月の一二号から一三号までの編集人は伊藤俊夫で、山田武彦、伊藤〓帆、長野泰一、宮井海平などに詩を書かせ、北大から京都大に転じた外山卯三郎に評論「詩歌の内的媒材と外的媒材」も書かせている。その後も『北大文芸』は、昭和十六年に休刊するまで詩作品を多く載せて札幌の詩壇に刺激を与えた。このことについては小柳透の「詩の歩み──明治から敗戦まで」(さっぽろ文庫5『札幌の詩』昭53・8)が詳しく書いている。小柳透の記述によると、札幌の詩誌として昭和二年に水城志郎美奈川唯志らの『彗星』、三年に『角笛』、四年に平山匡輝の『浄土』、木滑祗夫太の『襤褸』、坂本琇之助の『新詩派』、坂田勝の『氷原』、紗凍牧夫の『牧羊』などが創刊されたようだ。