同計画は(表14)、総事業費六〇二二億円を投じて、(一)道路等輸送手段の整備二〇二七億円(うち市施工事業分六三四億円)、(二)用地造成及び住宅建設二六五四億円(三七六億円)、(三)水道及び下水道等の整備四七八億円(三三三億円)、(四)環境衛生・医療及び社会福祉施設整備七〇億円(三〇億円)(五)公園・オリンピック・その他スポーツ及び観光施設整備一六九億円(五四億円)、(六)文教施設整備一三九億円(一二〇億円)、(七)産業振興事業二一三億円(一〇八億円)、(八)電力・ガス供給施設整備九五億円(市事業なし)、(九)市庁舎建設その他一七六億円(一四六億円)の各事業を実施するというものであった。
表-14 札幌市建設5年計画(昭和42年)の事業主体と市施工事業の財源 (単位:百万円,カッコ内は%) |
市施行事業 | 同左事業財源 | 国直轄事業 | 道施行事業 | 民間施行事業 | 総事業費 | ||||
一般財源 | 国・道支出金 | 地方債 | その他 | ||||||
(1)道路等輸送施設整備 | 63,445 (35.2) | 8,017 | 16,906 | 35,232 | 3,290 | 53,399 | 11,354 | 74,457 | 202,655 |
(2)用地造成及び住宅建設 | 37,649 (20.9) | 5,067 | 9,914 | 13,374 | 9,294 | 3,772 | 1,251 | 222,704 | 265,376 |
(3)上下水道整備 | 33,277 (18.5) | 5,470 | 6,611 | 19,118 | 2,078 | 11,508 | 3,000 | ― | 47,785 |
(4)文教施設整備 | 12,029 (6.7) | 2,863 | 1,753 | 6,290 | 1,123 | ― | ― | 1,594 | 13,949 |
(5)産業振興事業 | 10,752 (6.0) | 500 | 68 | 1,577 | 8,607 | ― | 100 | 10,484 | 21,336 |
(6)公園・オリンピック等観光施設整備 | 5,369 (3.0) | 751 | 2,347 | 1,160 | 1,111 | 3,898 | 5,079 | 2,576 | 16,922 |
(7)市庁舎新築等 | 5,310 (2.9) | 1,307 | 21 | 1,769 | 2,213 | 3,000 | ― | ― | 8,310 |
(8)環境衛生・医療・福祉施設整備 | 2,969 (1.6) | 867 | 188 | 1,637 | 277 | 1,186 | 472 | 2,416 | 7,043 |
(9)電力・ガス供給施設整備 | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | 9,500 | 9,500 |
その他とも計 | 180,100(100.0) | 30,042 | 39,808 | 80,757 | 29,493 | 76,763 | 21,582 | 323,731 | 602,176 |
「札幌市建設5年計画」により作成。 |
このうち、オリンピック関連予算については、昭和四十一年に招致が決定した時、原田市長はオリンピック関連の予算として、直接経費は六〇億円となり、選手村の建設費二〇億円は住宅公団が負担、競技施設建設費二〇億円は国の補助、残り二〇億円は国、地元、組織委員会がそれぞれ分担すると説明した(道新 昭41・5・4)。
次に同年十一月の市議会五輪実行委員会で板垣武四助役は、オリンピック予算の構想を発表した。それによると、経費の内訳は①直接の運営費(金額は明示せず)、②競技施設関連費―五四億円、③関連経費として国に要求する額―八二四億円の三つに区分され、そのうち③は道路事業費が中心となり、道道建設費として一九五億円を要求、市道費として二五〇億円を計上するとした。さらに下水道事業一六〇億円、区画整理事業七八億円、高速軌道三三〇億円、鉄道高架費五〇億円も含まれて(道新 昭41・11・12)、オリンピックは都市開発であるという図式ができあがった。
オリンピック開催をにらみながら、「五年計画」を基準に編成された最初の予算である四十二年度予算の重点経費は土木費であり、その総額四五億二〇〇〇万円は一般会計の二〇・八パーセントを占め、職員費を抜いて目的別経費の首位となった(表10)。なかでも道路橋梁費の一四億七六〇〇万円(うち道路舗装費が前年度の二倍の八億一五〇〇万円)と、都市計画費の一三億六五〇〇万円は、両者を合わせると二八億三〇〇〇万円という膨大なものとなった。さらに道路橋梁費の一部である除雪費は八四〇〇万円で、前年度予算一七八〇万円の五倍にもなり、除雪の機械化をめざした車両購入費九〇〇〇万円を加えると一億七〇〇〇万円を超えた。
下水道事業は、新設費一〇億二五〇万円を含んで三〇億五〇〇〇万円を計上し(対前年度八〇パーセント増 表11)、琴似、苗穂、白石を除く旧市街のほぼ全域に下水道が普及することになった。住宅費では公営住宅を六〇〇戸建設するとした。
このほか産業経済費では、中小企業金融対策資金として七億二〇〇〇万円、運転資金・施設改善資金として二億五九〇〇万円など中小企業向けの資金貸付枠を拡大した。また教育費では小・中学校六校の新設費を計上したが、土木費膨張のあおりで両経費ともその伸び率は鈍化した(道新 昭42・1・24、1・25、2・17、2・18、2・21)。
オリンピックのスキー競技が開催される手稲町の合併に対する予算措置としては、四十一年度補正予算で事業費七億円に加えて保健衛生、生活保護費等を含んで一一億五〇〇〇万円を計上し、さらに市は町に対して四十二~四十五年度に四五億円の事業費を投入する開発計画を示した(十一期小史、道新 昭42・2・24)。