このころから住宅地の郊外への進出が激しくなる。その様子を『北海道新聞』の見出しから年をおっていくつか見てみよう。
「宅地に食われる畑地」(道新 昭27・8・29)、「北と南へ伸びる札幌 十五万坪が宅地に 人口も二年間に三割ふえる」(道新 昭28・5・15)、「周辺へひろがる住宅地帯 第二大学村も出現 目立つ琴似町新川、八軒」(道新 昭30・11・22)、「ことしも相変らずの建築ブーム 四月から二千件 琴似、白石など郊外地は一様に値上り」(道新 昭31・8・26)、「白石など周辺地区に 昨年以上の建築ラッシュ」(道新 昭32・5・5)、「郊外は住宅の新築ブーム 今月は戦後最高に 鉄東、新琴似方面に集中」(道新 昭33・5・17)、「ぐんぐん伸びる住宅地 一ヶ月にざっと二十ヘクタール 目立つ札樽国道、定鉄沿線」(道新 昭34・5・4)、「発展する札幌市の周辺 交通網も再編の要 都心集中から脱皮の時期」(道新 昭35・10・29)、「土地ブーム 笑いと悩み 各地でにわか成金 悪質ブローカーはおどる 住宅難ますます深刻」(道新 昭36・4・30)、「すさまじい土地ブーム 札幌周辺 どっと農地転用申請 五年間に千七百ヘクタールが宅地などに」(道新 昭38・1・30夕)、「急速に変容する北地区 田園風景消える 宅地ブーム市電延長がきっかけ」(道新 昭39・8・26)、「どんどんつぶされる農地札幌市内 宅地や工場用地に 昨年だけで六百六十ヘクタール」(道新 昭40・3・9)、「十五万人の副都心に 60年目標厚別地域のマチづくり」(道新 昭43・6・18)、「北地区はまるで後進地 南地区との格差に不満いっぱい 道路しかり、上水道しかりすべてに立ち遅れ」(道新 昭45・5・27)
これらの見出しから、住宅地が市の中心部にあった既存の住宅地から郊外に拡がっていく様子がよくわかる。さらにその土地の多くが農地を転用したこと、交通の便が発展に拍車をかけていること、また新住宅地への交通網再編の必要性、悪質土地ブローカーの出現、住宅地の進出により田園風景が消えていくこと、都心集中から脱皮して副都心形成へ向かったこと、地区による都市施設整備のアンバランスがあることなどを窺うことができる。
そのため札幌市・北海道などの行政や公団、民間では、札幌市の人口増による住宅不足解消のため、市営住宅、道営住宅、公団住宅などを札幌市近郊に設置していった。それらの代表が、麻生団地、真駒内団地、木の花団地であり大麻団地である。また住宅地の郊外への無秩序な拡大を防ぐため、土地区画整理事業、上水道の拡張計画、下水道の整備など都市施設の整備も並行して行われた。
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写真-1 造成中の木の花団地 手前はりんご畑(現平岸1-2 昭34) |