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市街地の拡大

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 敗戦後も札幌市の人口増は続いた。そのため札幌市では住宅難が続いた。そこで市では昭和二十三年(一九四八)から北二四~五条西二~四丁目に市営住宅を建設しはじめた(道新 昭22・11・23、'68住宅年報 札幌市)。また二十四年になると北海道大学の教員のための住宅地が、北二六条東二丁目付近に建設された(道新 昭24・9・18、26・8・22)。市の中心部から若干離れた地域への住宅地の拡大が始まった。その後二十六年から、市では札幌飛行場の跡地を一〇〇〇万円で購入し、歩道、車道、排水管敷設などの土地整備をし、さらに電車の車庫、小公園、防風林などの緑地帯を設置して、市民への分譲住宅地とし、さらに道立高校、消防学校、聾学校用地として道に分譲した(道新 昭26・1・27、4・5、8・21)。その様子を北海道新聞は、「伸びゆく幌北地区 新住宅ぞくぞく 市でも重点的な対策練る」として紹介した(道新 昭27・6・4)。
 このころから住宅地の郊外への進出が激しくなる。その様子を『北海道新聞』の見出しから年をおっていくつか見てみよう。
「宅地に食われる畑地」(道新 昭27・8・29)、「北と南へ伸びる札幌 十五万坪が宅地に 人口も二年間に三割ふえる」(道新 昭28・5・15)、「周辺へひろがる住宅地帯 第二大学村も出現 目立つ琴似町新川、八軒」(道新 昭30・11・22)、「ことしも相変らずの建築ブーム 四月から二千件 琴似、白石など郊外地は一様に値上り」(道新 昭31・8・26)、「白石など周辺地区に 昨年以上の建築ラッシュ」(道新 昭32・5・5)、「郊外は住宅の新築ブーム 今月は戦後最高に 鉄東、新琴似方面に集中」(道新 昭33・5・17)、「ぐんぐん伸びる住宅地 一ヶ月にざっと二十ヘクタール 目立つ札樽国道、定鉄沿線」(道新 昭34・5・4)、「発展する札幌市の周辺 交通網も再編の要 都心集中から脱皮の時期」(道新 昭35・10・29)、「土地ブーム 笑いと悩み 各地でにわか成金 悪質ブローカーはおどる 住宅難ますます深刻」(道新 昭36・4・30)、「すさまじい土地ブーム 札幌周辺 どっと農地転用申請 五年間に千七百ヘクタールが宅地などに」(道新 昭38・1・30夕)、「急速に変容する北地区 田園風景消える 宅地ブーム市電延長がきっかけ」(道新 昭39・8・26)、「どんどんつぶされる農地札幌市内 宅地や工場用地に 昨年だけで六百六十ヘクタール」(道新 昭40・3・9)、「十五万人の副都心に 60年目標厚別地域のマチづくり」(道新 昭43・6・18)、「北地区はまるで後進地 南地区との格差に不満いっぱい 道路しかり、上水道しかりすべてに立ち遅れ」(道新 昭45・5・27)

 これらの見出しから、住宅地が市の中心部にあった既存の住宅地から郊外に拡がっていく様子がよくわかる。さらにその土地の多くが農地を転用したこと、交通の便が発展に拍車をかけていること、また新住宅地への交通網再編の必要性、悪質土地ブローカーの出現、住宅地の進出により田園風景が消えていくこと、都心集中から脱皮して副都心形成へ向かったこと、地区による都市施設整備のアンバランスがあることなどを窺うことができる。
 そのため札幌市・北海道などの行政や公団、民間では、札幌市の人口増による住宅不足解消のため、市営住宅道営住宅公団住宅などを札幌市近郊に設置していった。それらの代表が、麻生団地真駒内団地木の花団地であり大麻団地である。また住宅地の郊外への無秩序な拡大を防ぐため、土地区画整理事業、上水道の拡張計画、下水道の整備など都市施設の整備も並行して行われた。

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写真-1 造成中の木の花団地 手前はりんご畑(現平岸1-2 昭34)