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「放課後児童育成事業」の法制化

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 平成九年になると、学童保育が「放課後児童健全育成事業」として初めて法制化され、十年四月一日に施行された。背景には予想以上の少子化の進行に加えて、共働き世帯の増加などによる子どもの環境の急激な変化がある。全国の小学校低学年児童のうち、夫婦共働き家庭が四八・三パーセント(約一八〇万世帯)に達する現状から、共働き家庭を家庭の常態として一般化したことによる。九年六月に児童福祉法(第六条の二)を改正し、放課後児童健全育成事業とは、「小学校に就学しているおおむね十歳未満の児童であって、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、政令で定める基準に従い、授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業を」行うことと定義した。児童家庭福祉制度の見直しにより、「質の高い子育て支援制度として再構築する」(厚生労働省少子化対策関係資料集 二〇〇〇年)ことになり、同事業の実施主体を市町村とし、児童福祉法と社会福祉事業法(現「社会福祉法」)の両制度にまたがる「放課後児童健全育成事業」として明記された。札幌市では従来の「留守家庭児童会」を「放課後児童健全育成事業」に名称変更し、教育委員会から保健福祉局の所管替えとなった。
 市の留守家庭児童対策は表2にあるように児童クラブ、学校方式、民間方式で実施されることになり、平成十年現在で、合計四二五〇人の児童が「豊かな放課後」を過ごしている。なかでも民間の月寒地域の父母が開設した「しらかば台つばさクラブ」(昭60年開設)では、七人の知的障がいや足の不自由な児童を含む七〇人が、けん玉やこま回し、沖縄民謡を歌い太鼓をたたきながら踊ったりと、障がいのあるなしにかかわらず、地域で平等に放課後を生活する「場」も作られた(ぼくらは放課後に育った)。
表-2 「放課後児童健全育成事業」(学童保育)の実施状況(平成10年4月末現在)
名称実施主体開設場所開設数定員児童数会費・助成など
児童クラブ札幌市児童会館
ミニ児童会館
9539人2,651人・会費無料
②学校施設方式児童健全育成事業を目的に開設した児童育成会運営委員会市内16小学校空き教室16当該小学校児童 
45人
504人・入会児童の保護者から、3種の所得階層に応じて毎月徴収
 a-0円、b-2,850円、c-5,700円
・助成金あり
③民間施設方式(共同学童保育所)保護者・育成委員会(構成人員5人以上で地域の青少年育成関係者2人を含む)民家など471,095人・保護者の会費
・助成金は学校施設方式の標準的な運営費の50%を限度とし、児童数10人以上を有する施設が条件
合計1584,250人
『札幌市保健福祉局児童家庭部事業概要』(平10年度版)より作成。