『上田郷友会月報』を発行した上田郷友会とは、どんな組織だったのでしょう。創立は、組織の建て直しを願って開催された第1回の月例会と『上田郷友会月報』第1号が発刊された1885年2月1日。ここに至るまで6年ほどの前史があります。その始まりは、医学を目指して東京に遊学していた金子直躬(小河滋次郎兄)、芦田諧、鴇沢正躬が発起して1878年9月発会した上田医学会です。その後、上田学友親睦会、上田学友懇親会(郷友会)などと改称、1884年上田郷友会規則が制定され発足となりました。「各自相奨励し親睦を鞏(きょう)固(こ)ならしむる」ことを目的に「上田地方に縁故ある者」を会員にして発足しました。同様の目的をもった組織が、1883年から1887年にかけて諏訪、松本、松代、伊那、木曽などの出身者によって東京にできましたが、今日まで学習会と月刊誌発行の命脈を保っているのは、上田郷友会のみとなっています。
別な内容で今日まで続いているのは諏訪の場合です。上田郷友会創立と同年の3月に設立した諏訪青年会(1911年2月、諏訪青年会と諏訪育英会・長善館と合併して諏訪郷友会となる)による学生寄宿所=長善館の運営です。