[解説]

岐蘇林友 廿周年記念號(第百四十四號)
木曽山林資料館 山口登

 『岐蘇林友』144号は、創立以来20年の教育実践を総括する内容となった。冒頭第5代校長岡部喜平は、各地に赴いた600名を超える卒業生の活躍で当校が全国に知られ、学校が林学科だけで毎年多くの志望者があることは、大きな誇りであり、この20年にわたる関係者たちの努を高く評価した。しかしこの間に起こった「山林国立化運動」に対して彼は、今は国立論をなす時でなく、内部の充実に努めるべきことを訴え、事実上同運動の収束宣言をした。
 144号の内容は、記念号らしい内容の濃いものであり、大正デモクラシーの影響と思われる作品など、多様な人材・多彩な作品が登場する。
 また月刊『岐蘇林友』は卒業生が多くなったため、校内負担が過重になる一方、卒業生からの負担金は集まらず、大正末には168号を以て廃刊となったが、こうしてみると創立20年は、学校として新たな段階に入る節目となったといえる。