直捌下の箱館会所の所務取扱いは、毎年10月限り各場所の必需物資の仕入高を取りまとめ、会所掛がこれを検査し、調役一同が認印したあと吟味役に差出し、認可を得て御用聞に下げ渡された。御用聞はその注文品を注文先別に諸国に引分け、注文帳をつくって差出し、会所掛調役、同下役が取調べの上、吟味役の認可を得て注文が発しられたものである。こうして仕入れられた品物は箱館に輸送させ、これを倉庫に入れ、その後、倉出しの都度払帳に記入し、送状に値段帳を添えて、各場所に発送する方法をとった。また、場所から箱館役所に不時の追加注文がある時は、臨時買いといって市中の問屋から購入し、仕入品の貯蔵に不足品がある時は、貯仕入物といって、これも市中の問屋から購入して用意した。文化2、3年ころの例をとれば、会所の総仕入高は、およそ2万3、4000両といわれ、仕入金額の最も多いは大坂で、江戸がこれに次ぎ、箱館、敦賀、越後などがこれに続いて2000両を越えていたという。つまり大坂、江戸が供給地として重要な役割を果たしていた。