幕府の物資輸送

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 こうして嘉兵衛は幕吏の知るところとなり、あたかも幕府は蝦夷地直轄の準備中でもあったので、蝦夷地の経営に何よりも必要なのは船舶輸送で、このため目をつけられた嘉兵衛は、この年その下調べに蝦夷地に出張していた勘定吟味役三橋成方に呼ばれ、蝦夷地の海上交通の状況について意見をただされた。嘉兵衛の答えは極めて明快で、深く三橋を感歎させた。越えて翌11年、幕府が東蝦夷地を直轄すると、奥州酒田から幕府の必需品を箱館に回漕すること2回、更に厚岸根室国後に至って請負人の産物を買取って回漕した。それは嘉兵衛の力量を十分に証するものであった。