下海岸道路(準地方費道函館椴法華線、昇格し一般道道尾札部戸井函館線、現国道278号線)は大正期から、函館を起点に戸井・尻岸内・椴法華を経て森に至る幹線道路として構想されてきたが、椴法華・南茅部の境界、屏風岩一帯の断崖絶壁が障害となり開削が遅れ、長い間、椴法華村は下海岸道路の終点となっていた。昭和39年11月14日、関係町村・住民の長年の悲願がかない、最大の難関であった「滝の沢隧道」が貫通、続いて、同41年10月5日には、滝の沢トンネル(延長850メートル幅員6メートル)が完成した。そして、11月8日、函館バスは下海岸・南茅部環状線の運行を開始、函館を起点に大沼鹿部回り・恵山椴法華回り・川汲経由とバス路線による東渡島1周が可能となり、住民の足として、地場産業の活性化に大きな役割を果たした。
悲願であったトンネルは開通しバスは運行したが、道路の整備状況は必ずしもよくはなかった。時化の度に道路は波で洗われる、長雨・融雪期には落石が絶えなかったのである。関係町村はこの機に、路線のさらなる改良を進めるため国道への昇格陳情を強化した。
昭和45年4月1日、道道尾札部戸井函館線は「国道278号線」に昇格したが、この年の1月から翌46年3月まで、滝の沢トンネルに続く旧銚子トンネル付近が、落石や崩土で延べ510時間にわたり交通止めとなるなど、通行上のトラブルは絶えなかった。国は国道昇格を機に、抜本的に解決を図るため47年8月、最初の事業として総工費13億円を投じ、銚子トンネルを着工、同50年3月、延長1,460メートル、幅員6.5メートル、両側に0.7メートルの歩道を設けた、当時道南で最長のトンネルを開通させた。
平成7年(1995)11月、もう1か所のネックであった古部道路の完成により、国道278号線の危険箇所は大幅に解消された。