三、海藻類

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 戸井でとれる海藻類を、採取期間の順に並べると次のようになる。
 
ノリ
 一月から四月までの期間にとる。寒中にとるノリを寒ノリといい、品質のよいものとされている。
 
フノリ ギンナン、マツモ
 フノリは漢字で海羅と書き、ギンナンは方言でホトケノミミとか単にミミといい、マツモは方言でマツボとかマツブといっている。フノリとギンナンは五月から禁漁とし、フノリは翌年三月から四月にかけて採取し、ギンナンは四月中の干潮期を選んで一日か二日で採り終る。マツモは三月から四月にかけて採るが、売る程の量はない。
 
チガイソ(方言サルメン)
 方言でサルメンとよんでいるが、和名をチガイソといい、四月から五月にかけて一斉に採取する。昔は商品にならなかったものであるが、近世になってからワカメの代用品として商品化するようになった。戸井の人々はサルメンは食べない。
 
ワカメとヒジキ
 隣町の尻岸内にはヒジキはないが、戸井にはたくさんある。ヒジキとワカメの採取時期は五月から六月までである。五月はサルメンとワカメを併せて採り、サルメン採りは五月中で終る。戸井産のワカメはやわらかくて、下海岸ではもちろん、全道一と評価(ひょうか)されている。
 
マコンブとカゴメ
 戸井のマコンブは黒口昆布といわれている。南茅部産のものは白口昆布といわれ、最高の昆布とされ、里口昆布がこれに次ぐものとされている。方言でガゴメといっている昆布は、蝦夷時代にはカガメといわれ、和名ではトロロコンブと称するものである。
 マコンブは二年生のもので、一年目のものをミズコンブとよんでいる。マコンブとカゴメは七月の土用から十月末まで、天候を選んで採る。九月下旬以降に採取したものを後採(ごど)り昆布と称している。
 昆布も年によって豊凶はあるが、全町で三億円乃至五億円の産額があり、戸井町最高の水産物である。

マコンブ(下)とガゴメ(上)

 
テングサ
 和名をマクサといい、寒天製造の原料になる海藻である。テングサの産額は渡島管内で第一位であるが、その大半は瀬田来と弁才町の一部の沿岸でとれる。昆布漁が終ってから十一月から十二月にかけてとる。