昆布の採取方法

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 『北海随筆』によれば「五月よりは昆布にかかり其場所々々へ船出せり(中略)此業六月中迠に仕廻りて七月よりは一同に休み」と記されており、旧暦の五月から六月にかけて昆布採取が行われていたことが知られる。また同書によれば「是を取事いと心易き業にて海底より刈り取る」とあることから考え、元文年間(一七三六-四一)ごろには、鎌のような物を使用して昆布を刈り取っていたものと推定される。
 その後、昆布の採取方法は次第に各地で研究改良されたらしく、前松前藩時代の末ごろに箱館尾札部方面の海岸を歴遊した菅江真澄の紀行文『ひろめかり』によれば、鍵・捻棹・潜鍬・投げマツケ等を使用していたことが知られる。潜鎌というのは、頭に布製の潜頭巾をかぶり、柄の短い鎌を持って水中に潜り昆布採取をするものである。「投げマツケ」は捻棹の届かない深い海中に流れ集まる昆布を取り上げるために使用されたものである。

蝦夷の手布利」昆布採収用具