元揃昆布の粗製乱造

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 往古、亀田村辺から六箇場所昆布は、元揃・大赤・しもの三種に選別されていた。
最上の元揃は、大赤百駄のうち約一〇駄ぐらいであったという。売り値も元揃は高値だったので漁家のなかに粗製の弊がひろがった。
 文化六年(一八〇九)には大赤のほとんどを元揃に製造したり、昆布に湿った海草などを混ぜて重量をふやしたので輸送中に腐敗して困惑した船方は遂に海中に投棄したという。翌文化七年(一八一〇)、箱館の在庫の価格は下落して、三石昆布の半額となった。
 同年、箱館名主問屋・商人・漁民の総代が寄合い相談した。昆布製造の改良を図るため役所に品質改良の旨を願い出た。役所はこのことを一般に布告した。
 しかし、文化九年にまた粗製乱造するものがでて価格は下落してしまった。
 役所はまた厳しく前回の約定を申し渡す。粗製乱造は、昆布だけに限ったことではないが、天下昆布といわれている六箇場所の元揃昆布の粗製は大きな影響をもたらした。