さきの漁業組合準則に示された方向を踏襲してはいるが、いまだ漁業権の法的性格などについて曖昧な点が多かった。
はじめての漁業法に基づく水産組合規則により、茅部・山越二郡をもって明治三五年七月、茅部山越水産組合が創立された。組長には吉田定助(森)が選出された。
このとき、戸口も増加したことから板木は臼尻より独立して一組合を設立することを両郡水産組合に願い出たのである。
これまで臼尻は、尾札部村界精進川より熊泊村界大船川までを同一海区として永年昆布採収ほか漁業権を同一にしてきていた。板木は字界冷水下を境界として分離独立することを提言したのである。
この年、全道的に漁業海区を適正区画して、漁業者の組織の独立と育成をはかる方針があったので、出願をうけた茅部山越水産組合は板木の願出を認めることとなった。
ここに茅部山越の二郡は、第一区古部より始まり、板木を加えて長万部まで二〇区をもって水産組合として新しい漁業権によって発足をみたのである。
[茅部・山越水産組合]
区 分 | 村 名 | 組 合 員 | 副 組 長 | 検 査 員 | |
茅部山越水産組合 | 第一区 | 古 部 | 三八 | 山 川 善太郎 | |
第二区 | 木 直 | 九六 | 村 井 庄五郎 | ||
第三区 | 尾 札 部 | 一八二 | 飯 田 清次郎 | ||
第四区 | 川 汲 | 九九 | 斎 藤 政 治 | ||
第五区 | 板 木 | 五四 | (蛯 谷 金太郎) | ||
第六区 | 臼 尻 | 九一 | 東 出 源 蔵 | 小助川 平次郎 | |
第七区 | 熊 泊 | 九二 | 佐々木 福次郎 | 磯 野 太三郎 | |
第八区 | 鹿 部 | 六六 | 工 藤 嘉一郎 | ||
第九区 | 砂 原 | 一五四 | 平 田 定 吉 | ||
第十区 | 掛 澗 | 五三 | 島 田 勇 助 | ||
第十一区 | 尾 白 内 | 二六 | 西 川 政 吉 | ||
第十二区 | 森 | 四五 | 吉 田 定 助 | ||
第十三区 | 鷲 ノ 木 | 五二 | 磯 谷 長 蔵 | ||
第十四区 | 蛯 谷 | 四〇 | ( ) | ||
第十五区 | 石 倉 | 六九 | ( ) | ||
第十六区 | 落 部 | 一一六 | 中 村 喜 作 | ||
第十七区 | 山 越 内 | 八四 | 坂 本 菊 松 | ||
第十八区 | 八 雲 | 四七 | 厚 谷 久三郎 | 古 沢 与三郎 | |
第十九区 | 国 縫 | 二二 | 藤 田 仁 助 | ||
第二十区 | 長 万 部 | 二八 | 山 崎 栄 松 | 吉 田 幸 蔵 | |
合 計 | 二〇区 | 一、四五四名 |