(5)木直学校

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明治十四年 自十月至十二月
   学校設立願留   (民事課)学務課         (北海道所蔵)
一 学校位置  渡島茅部尾札部村支木直三拾八地
一 敷地坪数  弐百八拾四坪尾札部村支木直共有地
一 建家坪数  拾三坪五分
   右在来ノ稲荷社ヲ廃シ模様ノ画図及其費用ニ係ル村内集金寄附金等別冊之通
一 校名    木直学校
一 生徒    四拾名
一 教員    壱名 但壱名ニ付生徒四拾名受持ノ見込
一 書籍及器械
   右品名員数並代価別冊之通
一 学資出納概額
    常費概額  壱ヶ月 金拾四円五拾銭
          壱ヶ年 金百七拾四円
     内訳
     教員給料 同   金九円
          同   金百八円
     書籍新調及補理費同  金弐円
             同  金弐拾四円
     営繕費  同   金壱円五拾銭
          同   金拾八円
     薪炭油費 同   金壱円
          同   金拾弐円
     雑費   同   金壱円
          同   金拾弐円
     収入概額 同   金弐拾二円
          同   金弐百六拾四円
     内訳
     生徒授業料 同  金四円
           同  金四拾八円
     但生徒壱名ニ付一ヶ月平均金拾銭
     寄附金弐百五円
    右寄附金及人員別冊之通
     村内集金  同  金弐拾弐円
           同  金弐百六拾四円
      右村内集金戸賦金別冊之通
右出納差引一ヶ月金拾壱円五拾銭
     一ヶ年金百三拾八円 ノ残金ハ保護ノ為メ蓄積ノ筈
 前條之通当村内協議之上教則校則等者
 御規則ヲ遵守設立仕度此段奉伺候也
        渡島茅部尾札部村総代人
                小田原 幸作 印
明治十四年十月     同
                小板 久兵衛 印
            同
                杉谷 文次郎 
          学務委員
                今津 甚蔵 印
          戸長
                飯田与五左衛門 印
 郡長心得代理茅部山越郡書記  佐藤 源太郎 
 開拓大書記官時任為基殿
      第二千七百九十八号

[図]

 
   河汲村学校設置の動き           (函館新聞 第三一五号/明治一四・四・五 月曜)
 茅部郡河汲村の加我金左衛門と云る人は当時総代をも勤めて居るだけ有ツて村の者には何呉となく深切に世話する故其辺での人望家なるが昨年頃より当村へ学校を設度(まをけたい)と云ふ志願にて程よく村民を説得し村中甲乙に拘はらず一人に同地産の昆布一把つヽを建築費として積置(つみおき)たるが今では余程の金額にて遠からず建築に着手したいと云て居るよし夫に此頃近村にて頻りに博的(ばくてき)が流行(はやり)出し当村抔(など)にも右様のことが有ては済ぬと風雨も厭はず夜中窈(ひそ)かに村内を看廻りして居るとの事なるが実に感心な心掛けです
 
   公告
   公立小学校開校廣告
      茅部郡鹿部村
十二月十七日開校   鹿部学校
      同郡尾札部村支河汲
十二月十九日開校   河汲学校
      同郡同村支木直
十二月二十日開校   木直学校
右之通リ開校式施行候條此旨廣告ス
 明治十四年十二月  函館支廳
             学務係
 
   河汲・木直学校開校           (函館新聞 第六〇六号/明治一四・一二・一五 土曜)
 小学開校  本日(けふ)の公告にもある通り尾札部川汲木直の両小学校ハ来る十九、二十日の両日に開校になりますが開く処に処れば川汲学校ハ研才塾舎と称したる私立をば改め公立に引直したるものにて直ちに同塾を幾分か手入をして教場に用ひ維持ハ己(すで)に是まで私立とハ云へ人民より出金して公立の姿なれば人民集金三百八十円五十銭と今度模様替に付同所飯田与五左衛門氏始め数名よりの寄付金五百五十六円村内戸賦金(こふきん)百五十六円並に村民漁業収獲の内より金八拾四円を以て維持する見込なりと同校ハ已に私立にて教員岩花某氏が是まで段々尽力あって子弟を教授され夫より進んで今日の盛挙(せいきょ)に至れるハ誠に喜ぶべきことにて教員も今度師範学校豫備教員たりし土屋重次氏が赴任されたればいよいよ学事の進歩することと思はれ升(ます)又木直学校ハ同所稲荷社を仮(か)りに学校に宛(あ)て人民集金のうちより金六拾四円六十銭を以て修繕を加へ同所平民佐々木半兵衛氏はじめ諸氏より寄付金二百五円と村民戸賦金二百六拾四円にて維持する見込のよし又た来る十七日鹿部学校も開校式を執行するよし何れもさまで人煙富盛の土地にもあらぬ小村落にてかく続々学校の設立になるハ実に感心の事です本港の諸君是に就ても是非学校の再築等にも十分御尽力あって子弟の速に就学になるやうにせぬと村落の方々に対しても羞(はず)かハしき事ならずや
 
   鹿部学校 (函館新聞               第六一四号/明治一四・一二・二六 月曜)
 小学開校式  去る十七日ハ茅部郡鹿辺村鹿部学校開業に付き支庁よりハ小貫(をぬき)六等属(ぞく)渡辺九等属師範学校素木(しろぎ)二等教諭郡長心得佐藤宗正受持訓導斉藤□蔵(じゅざう)及本村戸長学務委員学校世話係村惣代等の諸君尽(ことごと)く列席にて午后二時半より開業式を挙げられ先づ第一に本校教員山本谷平氏起(たつ)て校則を朗読し亜(つい)て郡長心得学務係教員其他の祝詞あり最後に素木(そぎ)教諭斉藤寿蔵両氏の演説あり隣村砂原村(距離四里半)よりハ戸長教員生徒等臨席祝詞あり式終って本校設立に付金円等寄付されし方々へ賞与を賜りたり本校ハ舊来会所と唱へ廣大なる共有の建物をバ修繕を加へ教場及び教員詰所に充(あ)てしものなれば教場の都合もよく維持方法もよく備りなかなか村落にハ稀な学校なりとぞ又本校設立に付てハ久越(ひさこし)某氏が非常に尽力して此開業式を執行する手順に至れりと
 
   川汲・木直学校開校式          (函館新聞 第六一五号/明治一四・一二・二八 水曜)
 小学開業式  去る十九日ハ茅部尾札部川汲川汲学校開業式にて前号鹿部校へ臨席の方々其他戸長学務委員及び隣村教員等臨席にて午後三時其式を行ふ本校教員土屋重次氏起て校則を朗読し亜(つい)て臨席諸氏の演説等あり式終て別に会筵の席を設け祝杯を挙げ各歓を尽して退散されたり引続き廿日ハ同村支木直学校の開業式あり出席の諸氏ハ前校に異なることなし何れも両校とも式終って開校に付き金円寄送の人々へ賞与を与へられたりといふ日に増し学校の開校になるハ誠に喜バしきことにて今年ハとりわけ多く当支庁管下にても巳に公私学校十九校も開校になりしハ文運の隆興又た盛なりといふべし