黒石逆断層系は、村岡・長谷(一九九〇)が、津軽平野南縁部と脊梁西縁部との境界に発達するN-S方向の、横ズレセンスを示す逆断層に対し命名したものである。主断層は黒石断層と三ッ目内断層である。鎌田(一九九三)は、断層の運動形態を横ズレよりも逆断層成分が大きいと紹介している。本断層の存在もしくは延長連続を示唆する温泉は、津軽平野南東縁部の東北自動車道の西側に分布し、想定される断層の東側にある平賀町唐竹温泉群と同一泉質組成(非炭酸ナトリウム+非炭酸カルシウム型)を示す。唐竹温泉群との掘さく深度の差を断層変位量と考えた場合は、二〇〇メートルから五〇〇メートルとなり、黒石方向に向かって増加する。この変位量と浅瀬石川扇状地堆積物の層厚の変化が調和的であることから、この断層の活動は更新世後期まで継続していたと考えられる。