津軽地域の気温と特徴

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地上気温は、生活環境に適応して、地表付近の高さによる温度傾度の小さくなる地上一・五メートル前後の高さにおける空気の温度で、地表面の影響を受けて一日周期で変化している。
 ある時間内の最高・最低気温の差を較差(日・月・年較差)と呼ぶが、この較差は同じ緯度帯であると海岸より内陸の方が大きい。また水田より草地、畑地より砂地が、そして曇天日より晴天日の方が大きい。津軽地域の平均的な日較差は、平均値で一〇℃前後、毎日値では〇~二〇℃と振幅が大きく変化している。気温変化は内陸ほど大きく、季節変化にも特徴がよく現われる。
 津軽地域の青森・深浦・弘前および太平洋側の八戸・むつのアメダス観測点相互の月別気温の比較から、同じ津軽地域内または津軽地域と東部地域(太平洋側)との気温特性をまとめると次のようになる(表15)。
表15 県内の月別準平年気温(℃)-アメダスによる
統計期間(1979-1990)
 月
地名
123456789101112
青森-1.9-1.51.97.713.017.020.423.218.712.46.31.59.9
弘前-2.5-1.91.48.113.517.720.923.318.211.85.70.99.8
深浦-0.8-0.62.68.212.817.220.823.318.813.07.42.610.4
むつ-1.9-2.01.36.911.915.418.721.617.712.16.31.59.1
八戸-1.5-1.22.18.012.716.119.222.318.412.56.51.89.7

(イ)津軽地域内の地点別年平均気温は一〇℃台であるが、海峡・陸奥湾側の東津軽郡では、九℃台と低い地域になる。年変化はほぼ似ているが、月別にみる地点気温の比較では、海岸と内陸気候の特色が現われている。

(ロ)青森地点と弘前地点で比較すると、年平均気温は一〇℃台でほぼ同じ値であり、毎月の気温差は〇・五℃前後と小さい。ところが季節的には、秋から冬にかけては弘前の方が青森より少し低く、春から夏は逆に弘前の方が少し高い気温経過を示す。これは海岸地方の海陸風と内陸部の放射冷却の大きさによる平均的な気候特色であるが、このほかに青森地点は梅雨期のヤマセの影響による差がみられる。しかし年変化に大差はなく、その意味では気候値や気候変動などに、統計年数の長い青森地点の資料が津軽地域の代表例として利用できる。

(ハ)深浦地点の年平均気温は、青森・弘前地点より〇・五~〇・六℃高い。この気温差は冬に大きく、対馬暖流による日本海からの効果が主要因と思われる。

(ニ)日本海側と太平洋側の地点の比較では、津軽地域の三地点は、六月・七月・八月に、太平洋側の八戸より約一℃、むつより約二℃高く、ヤマセ季節の不順天候の強弱差が現われている。

 これに関連して、近年の冷害年における気温偏差分布によると、弘前、中・南津軽地域の気温は、平均的に三~五℃東部太平洋側より高い。津軽北部地域は二℃くらい高い程度で、東海上から冷湿風の入りやすい海峡側や陸奥湾側では、気温差が小さく分布的には低温域側に入っている。この気温差に八甲田山地津軽半島山地による衝立(ついたて)効果が現われている。同時に偏東風が吹き抜ける低地域の陸奥湾周辺では、ヤマセ侵入が大きいことを示している。