ヤマセと冷害

224 ~ 225 / 425ページ
農作物、特に稲作がヤマセから受ける影響の中で大きな問題は、低温のほか、濃霧や層雲といった低い厚い雲による日照不足である。
 冷害年の昭和五十五年(一九八〇)の事例では、ヤマセ日の日照時間は、津軽平野や西海岸地域では太平洋側や東津軽郡より三時間前後多くなっている。この季節、日照は稲作を中心とした農作物に大事であるが、六月・七月の日照率津軽地域では平年の八〇%どまりになっているのに対し、太平洋側や海峡・低地の陸奥湾側は平年の五〇%以下と極めて少なくなっている。気温は津軽地域でも平年より月平均気温で二~三℃低いが、日照不足による障害が抑えられるため、冷害を受けながらも被害に地域差が現れている。この年における水稲収量の地帯別作況指数は、次の( )内のとおりで県内の地域差が出ている。
  青森(一九)、津軽(七五)、三八・上北(七)、下北(一)、
 県平均(四七)で、平均収量一〇アール当たり二六五キログラム。夏季(六月・七月・八月)平均気温一九・二℃で、この年は長雨と多雨が特徴的であった。また、最近では平成五年(一九九三)の作況指数は、
  青森(九)、津軽(四五)、三八・上北(七)、下北(〇)、
 県平均(二八)で、平均一〇アール当たりの収量一五九キログラム。夏季平均気温一八・三℃(青森)である。このように冷害年の稲作でみるように、同じ低温障害期間にあっても、津軽地域は日照時間に恵まれ地帯別作況指数は県内で比較的高い。