昭和十五年(一九四〇)二月十一日は
日本の
紀元二千六百年に当たるというので、弘前市内各校では、紀元節祝賀会後、午後一時から奉祝旗行列を行った。この一年間さまざまな奉祝行事が挙行されたが、その頂点をなすものは、十一月十日宮城前広場で行われた
紀元二千六百年奉祝式であった。この日
天皇皇后両陛下には奉祝式場に御親臨になり、内地外地から参列の五万五〇〇〇人の代表とともに祝った。午前十一時二十五分、近衛文麿首相は万歳の音頭をとり、それが
ラジオを通じて全国に流れ、国民はともに唱和した。式は戦意高揚を目的に、政府が音頭をとって国民的祝賀行事としたものであったが、しかし、中国大陸における戦況は日増しに悪化し、せっかくの奉祝行事もいまひとつ盛り上がりに欠けるものがあった。
弘前市内
小学校の中には、
紀元二千六百年を祝って記念事業を行うものが多く、
朝陽小学校は理科教育設備拡充に児童保護者会が千数百円を投じ、
和徳小学校は学校放送設備一式を学区内有志から贈呈され、
第一大成小学校では
御真影奉安殿の新築、また、
時敏小学校では卒業生から校旗一旒が寄贈された。
写真55 弘前における紀元二千六百年祝賀行進(昭和15年)