金澤市政の財政

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平成四年(一九九二)の市長選挙において、第三一代(~第三四代・現在)弘前市長に就任した金澤隆(かなざわたかし)市長は、就任にあたり市民一人一人の声を聞き、それを真摯に受け止め、公正で能率的な市政運営を基本理念とし、また、藤森・福士市政から引き継ぐ、津軽地域の発展とともに弘前市の発展があるとの所信を述べ、行財政運営にあたる。
   (一)市政における重点施策
 金澤市政における施策は環境問題への取り組みとともに、高齢化社会に対する社会福祉に重点が置かれた。また、福士市政から受け継がれてきた弘前駅前再開発事業は金澤市政において完了する。
  ①環境問題への取り組み
 地球的規模における環境問題に対し、平成五年度、弘前市は電気自動車を購入して公害パトロール車としての使用を図り、また、資源再生事業組合への補助制度を創設してゴミの減量化を図るなど、環境問題への本格的な取り組みを始める。六年度には長前(ちょうまえ)地区に造成していた埋立処分場第二次整備事業が完工し、七年度にはゴミの分別(ぶんべつ)指導などを徹底するため、廃棄物減量推進員制度を発足させる。十一年度には廃棄物の問題やダイオキシンなどによる環境汚染に対し、これまでの条例では対処できなくなってきたことで、環境基本計画の策定に着手し、環境に対する総合的な施策を検討する。そして、十二年度には弘前市環境基本計画にもとづき、十四年二月、この計画の母体となる「ひろさき環境パートナーシップ21」を組織し、市民・事業者・行政が一体となった環境問題への取り組み体制が確立された。
  ②社会福祉への取り組み
 社会福祉については、高齢化社会への対応が重要施策となり、五年度には老人保健福祉計画を策定し、六年度には緑ヶ丘団地市営住宅に居住する高齢者のために、シルバーハウジング生活援助員派遣事業を展開する。その後も六十歳以上市民の弘前城植物園博物館など六施設への入場無料化、ホームヘルパー派遣事業、地域福祉ほのぼの交流事業、在宅介護支援センター事業などを展開する。十二年度、国において介護保険制度が施行されるにともない、介護予防生活支援事業が創設され、十五年度には、市内一四ヵ所の地区在宅介護支援センターの総括と支援のために、基幹型在宅介護支援センターの設置を図るものとした。
  ③弘前駅前再開発事業
 福士市政から受け継がれてきた弘前駅前再開発事業は、三年度末には駅前地区土地区画整理の進捗率が五三・六%となった。七年度から駅前地下道と地下自転車駐輪場が建設され、十年度には駅前広場が完成し、十一年度からJR弘前駅東西自由通路が建設された。そして、十四年度には、昭和五十四年度から二二年余りの歳月をかけた駅前地区土地区画整理事業は完了したのである。

写真159 土地区画整理事業の終わったJR弘前駅

   (二)津軽広域圏の開発
 六年九月、弘前市は地方拠点都市第二次指定として「弘前地方拠点都市地域」(弘前市、五所川原市、黒石市などの一八市町村)に指定される。これは東京首都圏への一極集中を是正するとともに、地方の自立をめざした国の公共投資の重点的な配分や、地方へ移転する企業に対する金融・税制面での優遇措置をともなうものであった。弘前市はこの地方拠点都市構想の中核にオフィス・アルカディアを据えようとした。オフィス・アルカディアとは、通商産業省(現経済産業省)による産業業務拠点都市構想のことであり、東京首都圏に集中している産業業務施設を地方へ分散して配置し、地方が受け入れられるよう整備するものである。七年度よりオフィス・アルカディア地区が整備され、十三年度から分譲が開始されていった。

写真160 市政懇談会での金澤市長