雪燈籠まつり

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弘前市だけでなく、雪の多い青森県では、冬は交通網に支障が生じがちになり、農作業だけでなく、各種の観光イベントも停滞・中止せざるを得ないことが多い。当然人々の経済活動は冬に停滞するわけであり、観光都市として発展する道を選んだ弘前市にとっても、冬をどのように乗り切るかが課題だった。
 市当局、観光協会商工会議所は、冬のイベントとして札幌雪まつりの盛況ぶりにあやかる形で「弘前城雪燈籠まつり」の開催を考案した。祭りは、昭和五十二年(一九七七)、二月四日から三日間の会期で弘前公園を会場に始まった。二月三日には前夜祭として追手門広場で、共催者である三団体関係者が集まり、三者を代表して福士市長が「市民総参加の冬まつりが、ここに実現できたことは喜びに耐えない。通年観光の第一歩を歩み出したものと思う」と挨拶した。市長の挨拶は春夏秋のイベントに並び、弘前市の四季すべてにイベントができた喜びを示していた。なによりも弘前市の経済活動を停滞させてきた冬に、観光客を呼べるイベントができたことは、この上ない喜びとなったのだろう(資料近・現代2No.六一六参照)。
 雪燈籠まつりは二月の厳冬期に実施されており、雪の燈籠は市民の手作りである。夜には弘前城の天守閣と老松がライトアップされ、蓮池の周りには、ロウソクを灯した小さなかまくらが多数並べられる。メイン会場の四の丸には、歴史的建造物をかたどった雪像や滑り台が作られ、雪にちなんだイベントが行われている。
雪燈籠まつりは、札幌雪まつりに比べれば、規模も小さく地味である。その分知名度は低く、観光客も少ない。しかし、八戸市のえんぶり、岩手県雫石町の岩手雪まつり、秋田県男鹿市のなまはげ紫灯まつり、秋田県横手市の横手かまくらと並び、みちのく五大雪まつりとして位置づけられ、冬のイベントとして完全に定着している。

写真231 雪燈籠まつり