西宮でなぜ酒づくりが発展していったのだろう?
<検証②>西宮は酒づくりに適した場所だった?

先生、酒づくりは江戸幕府の出す法令に大きく左右されていたことはわかったよ!

次は、酒づくりに必要な環境についてみていきます。
どういった環境が酒づくりに適していたのか、探っていきましょう。ポイントは4つあります。酒づくりに必要なものはなにか想像してみてください。
どういった環境が酒づくりに適していたのか、探っていきましょう。ポイントは4つあります。酒づくりに必要なものはなにか想像してみてください。
ワークシートポイント

なんだろうなあ?酒づくりに必要な材料だとしたら、おいしいお米がたくさんとれるところが近くにあったのかな?

お酒をつくる人がすごい上手な人が多かったんじゃないかな?

いろんな意見が出ましたね。さて、正解はあるでしょうか?
ひとつめのポイントは、「宮水」です。
ひとつめのポイントは、「宮水」です。

「宮水」ってなんだろう?酒づくりにも水は必要だと思うけど、どういうお水なのかな?

わたし、聞いたことあるよ!「西宮の水」が短くなって「宮水」っていうんだよね。

よく知っているね。「宮水」は西宮のなかでも限られた場所でしかとれない水のことで、リンやカルシウムなどのミネラルが豊富に含まれていて、酒づくりに必要な麹菌や酵母の栄養分となるので酒づくりにはすごく適した水なのです。宮水が発見された場所には、「宮水発祥之地」という石碑が建っていて、「宮水」は今でも大切に保護されています。


へえ、酒づくりに適した水があるんだ。それは、おいしいお酒ができそうだね。

この写真は、江戸時代のものではないですが、宮水を運ぶ様子を写したものです。酒づくりには宮水が欠かせなかったため、「水屋」とよばれる宮水を酒造家に売る人たちもいました。

2つめのポイントは、「水車での精米」です。
酒づくりには米の真ん中にある白い部分(心白といいます)を使いますが、心白を取り出すためには、心白の外側部分をけずる必要があります。西宮や芦屋では、急流な川に水車を設置して、その水の力で水車をまわして白い部分を取り出していました(この作業を精白といいます)。人の力で行っていた作業を水車の力でできるようになったため、一度にたくさんのお酒をつくることができるようになったのです。
この絵図には、夙川沿いに「水車」の文字と絵がかかれています。
酒づくりには米の真ん中にある白い部分(心白といいます)を使いますが、心白を取り出すためには、心白の外側部分をけずる必要があります。西宮や芦屋では、急流な川に水車を設置して、その水の力で水車をまわして白い部分を取り出していました(この作業を精白といいます)。人の力で行っていた作業を水車の力でできるようになったため、一度にたくさんのお酒をつくることができるようになったのです。
この絵図には、夙川沿いに「水車」の文字と絵がかかれています。

本当だ。この絵図を見れば、どのあたりに水車があったのかがわかるんだね。

水車はこのような感じで設置されていたのでしょう。

昭和11年(1936)には、兵庫県で「山田錦」という心白の大きいお米が開発されて、いまでは、この山田錦を使ったお酒がたくさんつくられていて、酒米の王様とよばれています。酒米はわたしたちが食べている食用米よりも粒が大きいことが特徴です。

江戸時代には、心白を残した酒米を一度にたくさん造ることができるようになっただけじゃなく、昭和時代に入ってからも新しい酒米の開発がされているなんて、よりおいしいお酒をつくるために、ずっと努力をされてきたんだね。

今でもおいしいお酒がつくられ続けているのは、この努力のおかげですね。
3つめのポイントは「六甲おろし」です。
3つめのポイントは「六甲おろし」です。

「六甲おろし」って六甲山の山が関係あるのかな?

そうですね。冬の時期に六甲山から吹き降ろす冷たく乾燥した風のことを「六甲おろし」といいます。お酒は「六甲おろし」が吹く冬の寒い時期につくられるので、酒蔵の向きをあわせて、南北に窓を配置し、開けたり閉めたりすることで酒蔵を冷ましたり、換気を効率よく行うことができました。

六甲おろしの風の吹く方向などを考えて、酒蔵も建てられていたんだね。

西宮という地域が、酒づくりに適した場所だっていうことがだんだんわかってきたよ。

では、最後の4つめのポイントは、お酒をつくる「丹波杜氏(とうじ)」です。

やっぱりお酒をつくる人の技術がすごくて、おいしいお酒ができたんじゃないかな?

実はそうなんです。「丹波杜氏(とうじ)」は、丹波という現在の丹波篠山市あたりから酒づくりのためにやってくる職人です。おいしいお酒をつくるすごい技術をもっていて、その技術は今でも受け継がれています。

酒づくりのためにわざわざ西宮までやってきてくれたんだ。

西宮には、酒づくりに必要な環境が整っていたことがわかりましたか?

はい!ありがとうございます。