政府による宗教統制をねらった宗教団体法が昭和十五年四月一日から施行となり、あらゆる宗教結社は宗教結社規則、教典、布教者、布教方法、資産と施設などに届出と認可が必要とされるようになっていた。宗教結社は説教所までにいたらない小規模な宗教団体であったが、十五年から十七年までの間に
札幌市及び
円山町に届け出された仏道宗教結社は、表5のように五三カ社に及んでいる。
結社名 | 所在地 | 代表者 | 信徒数 |
曹洞宗布教所 | 南7西2 | 佐藤義賢 | 157人 |
法華宗白正講結社 | 北9西3 | 佐藤トメ | 30戸 |
高野山大師教札幌支部 | 豊平3-2 | 今井照雄 | 100人 |
新善光寺山鼻墓地法務所 | 南29西10 | 安富賢亮 | 110戸 |
新善光寺豊平墓地法務所 | 豊平4 | 安富賢亮 | 100戸 |
古義真言宗修験者延命地蔵宗教結社 | 南6西13 | 細井ヒサ | 100人 |
天台宗修験道神変不動講 | 北8東1 | 村上正亨 | 200人 |
国柱会札幌局 | 北14西4 | 難波健一 | 10人 |
日蓮宗正法結社光明法務所 | 北2東5 | 平山智運 | 23戸 |
宗教結社真言宗国分寺善通院布教所 | 北2東11 | 蔵本とみゑ | 100人 |
真言宗醍醐派修験道憲照堂宗教結社 | 豊平3-7 | 岩崎憲照 | 20人 |
報徳講布教所 | 南10西6 | 大吉房照允 | 48人 |
日蓮宗白龍講社 | 南2西7 | 河曲ウタ | 20人 |
真言宗醍醐派修験道山鼻不動講宗教結社 | 南10西6 | 久慈道ミツ | 20人 |
宗教結社曹洞宗薬師寺創立事務所 | 南10西6 | 藤塚大仙 | 120人 |
宗教結社木辺派真照寺創立事務所 | 南17西13 | 坪井慧照 | 200人 |
真言宗明王堂 | 北7西8 | 西崎恵承 | 90人 |
札幌大悲講所 | 南7西12 | 土屋チヨノ | 80戸 |
長経院 | 南10西7 | 沼上光叡 | 60人 |
真言宗醍醐派修験道太子講宗教結社 | 南5西9 | 丹羽真道 | 10人 |
真言宗醍醐派修験道創成結社 | 北1東8 | 太丸よし | 25人 |
真言宗醍醐派修験道運光院宗教結社 | 北2東10 | 黒岩フチノ | 50人 |
古義真言宗国分寺弘法大師布教所 | 北18西5 | 佐藤栄五郎 | 85人 |
古義真言宗国分寺愛国教会真光院布教所 | 北10東1 | 山口志乃 | 30人 |
天台宗寺門派信念講 | 北6西10 | 辻口光覚 | 25人 |
日蓮宗清正結社日登寺法務所 | 南6東2 | 安井文法 | 50人 |
真宗興正派札幌教場 | 北13西1 | 梅園良成 | 180人 |
真言宗醍醐派高尾山講社 | 南5西7 | 酒井栄吉 | 157人 |
古義真言宗国分寺愛国教会弘法大師布教所 | 豊平5-6 | 寺尾石蔵 | 40人 |
日蓮宗妙法結社 | 南5西13 | 小出泰了 | 36戸 |
妙宗御題目修行所 | 豊平4-7 | 斎藤武造 | 50人 |
弘法大師信仰結社 | 南18西12 | 村上トヨ | 15人 |
真言宗高野山苗穂大師講 | 北1東12 | 前田浄蓮 | 120人 |
豊白真宗法話場 | 豊平1-2 | 郡司市三郎 | 300人 |
札幌観音堂 | 南3西9 | 西沢禅達 | 400人 |
高野山大師教会六条結社 | 南6西13 | 本間妙田 | 118人 |
曹洞宗龍興結社 | 円山157 | 上田守蔵 | 600人 |
経王寺円山布教所 | 円山182 | 傳 光徳 | 60人 |
日蓮宗一乗結社 | 円山南3-2 | 今井左吉 | - |
日蓮宗顕信結社 | 円山南6-1 | 坂本玄善 | 30人 |
本妙法華宗円山結社事務所 | 円山3-2 | 丹波智勝 | 276人 |
浄土真宗本願寺派円山説教所 | 円山131 | 山口教圓 | 120戸 |
本門法華宗本門仏立講円山教会 | 円山4 | 三浦現精 | 53戸 |
古義真言宗国分寺弘法大師幌西布教所 | 南6西13 | 細井ヒサ | 100人 |
法華宗札幌布教所 | 北1西23 | 三浦現精 | 53人 |
北塔院帰命会 | 南8西7 | 丹保照峰 | 70人 |
曹洞宗布教所 | 白石6-2 | 桂田全明 | 138人 |
日蓮宗布教所信徒決集所 | 南8西13 | 大島禮光 | 110戸 |
日蓮宗顕信結社 | 円山南町 | 坂本玄善 | 50人 |
『仏道宗教結社届』『円山町役場宗教結社届綴』『社寺関係書類』(札幌宗教関係資料 道図)より作成。 |
信徒数は最高で
曹洞宗龍興結社の六〇〇人であるが、一〇〇人(戸)以下のものが半数以上を占めていた。ただし、宗教結社といっても多くが各宗派、寺院の出張所的な施設となっているが、一部に個人的に開設した祈禱所や本門仏立講、国柱会などの新宗教の結社も含まれており、教団仏教とは対比的な民衆宗教の姿をうかがうことができる。
表5の中で
豊白真宗法話場は、もと豊平一条二丁目の大谷派
札幌別院附属豊白説教所の門信徒の組織であるが、
札幌別院と「折合ツカズ」、昭和十一年五月十日に法話会を組織したものであった(社寺関係書類 昭15)。十六年三月に大谷派から今度は三門徒派への所属を変更し、十七年二月に真宗三門徒派教会を設立している(同前 昭16、17)。