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北門貯蓄銀行の特質

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 貯蓄銀行法施行を契機に生まれた北門貯蓄銀行は、当初北門銀行に間借りしながら開業したが、しだいに店舗を独立させていった。本店は大正十一年十一月、大通西三丁目の仮営業所に移転し、昭和三年十一月に南二条西四丁目に新築移転した。札幌市内では、このほか大正十二年十月設置の北七条支店が昭和十一年十一月に大学前支店として新築・移転し、大正十二年十二月に苗穂支店、十五年一月に西出張所(昭5・9支店昇格、南1西13)、昭和二年に東屯田出張所(昭13・1支店昇格)、十五年十二月に豊平出張所、十六年九月に円山出張所が設置された(北海貯蓄銀行二十年史)。このほか、小樽、函館、旭川など道内枢要の地に支店を設け、いずれも北門支店から独立店舗へと移転している。
 役員は、大正十五年に頭取制度を設け、「北海道の海運王」小樽の板谷宮吉が就任し、専務取締役に拓殖貯金から留任の小竹文次郎、取締役に旭川の日本清酒社長笠原定蔵という構成となった(北門貯蓄銀行開業十周年記念 当行の業績と現状)。
 表13に北門貯蓄銀行の業績をまとめた。貯蓄銀行という性格上、預金は貸出よりも有価証券投資に運用しており、預貸率は年々低下し、預証率は年々上昇している。貯金の種類も貯蓄銀行共通のものである。据置貯金というのは、最初に五〇円以上、次回からは一円以上を約定期間内に何回でも預け入れることができ、非課税、預け入れ金額までの貸付もできた。定期積金は、毎月一定額を積み立て、満期の際まとまった金を受け取るというもので、「お子様の教育資金、結婚費等の積立、建築や旅行でもなさらうとする方々、店の利益から天引的蓄積、俸給生活者の生活安定資金の造成など」現代と変わらぬ用途を銀行側は推奨している(同前)。
表-13 北門貯蓄銀行主要勘定 〔単位:千円〕
資産の部有価証券担保貸付金不動産抵当貸付金預金者に対する貸付金定期積金者に対する貸付金道市町村に対する貸付金割賦償還貸付金預け金国債地方債社債株式所有不動産合計
大15上2651268195951782612394230344,774
昭 2 下256140127958405904771,05241415,115
  3 下3362001219127191,0521071,45969056,324
  4 下2792841388069061,4001141,878926117,496
  5 下2562731418066461,5441112,228960117,705
  6 下2752691516144081,5153102,529874117,701
  7 下27430417654230257061,5511082,749734117,954
  8 下20426520234222277651,5455933,261602258,597
  9 下17427519425614267601,9083093,495629399,322
 10下14328824224714221,0882,5554403,008983361,060
 11下1252873132331269013,0944923,3201,2553811,658

負債の部払込資本金法定準備金別途積立金行員退職給与基金普通貯金据置貯金定期積金定期預金給付補填備金当期利益金合計払込資本金利益率預貸率預証率
大15上12551231,4621941,2731,19572134,77410.434.7%53.2%
昭 2 下12571641,5582061,2451,44470155,11512.033.355.0
  3 下25092252,0252541,2832,06173166,3246.427.958.8
  4 下250132572,2641,9611,4661,07780217,4968.422.363.8
  5 下250162782,0702,9161,57739593137,7055.221.269.6
  6 下250192772,0723,1951,28442572137,7015.218.874.9
  7 下250222772,0543,6581,39310089187,9547.218.871.4
  8 下250282762,3264,2071,19812962228,5978.813.576.3
  9 下2504227112,4574,7041,222166593593214.011.074.2
 10下2506027142,6275,6451,39312564351,06014.09.871.4
 11下2507632222,9186,3211,441110625411,65821.69.175.6
北門貯蓄銀行『業務報告書』(各期)より作成。

 預金者はどのような人びとだったのか、表14を検討しよう。職業別の比率では、農業、工業が少なく、雑と商業が多くなっている。農業が少ないのは、農村における信用組合(産業組合)と棲み分けしているからだろう。据置貯金の一口当たり金額はこの間大きく増え、特に雑の伸びが著しい。これは、数年間にわたって貯蓄したからであろう。貯蓄銀行は、職業から判断すると都市俸給生活者、商業者の預金を吸収して発展していたといえよう。
表-14 北門貯蓄銀行預金者職業別 〔単位:円〕
農業商業工業職業別比率(金額)
口数
金額
1口当金額
口数
金額
1口当金額
口数
金額
1口当金額
口数
金額
1口当金額
口数
金額
1口当金額
農業商業工業合計
昭和3年下半期普通貯金878口
74,507円
84.9円
9,560口
694,395円
72.6円
1,360口
76,322円
56.1円
21,350口
1,180,660円
55.3円
33,148口
2,025,886円
61.1円
3.7%34.3%3.8%58.3%100.0%
据置貯金55
4,359
79.3
805
97,568
121.2
68
4,528
66.6
1,345
148,287
110.3
2,273
254,743
112.1
1.738.31.858.2100.0
定額積金48
13,422
279.6
2,264
633,311
279.7
138
41,074
297.6
2,961
595,212
201.0
5,411
1,283,022
237.1
1.049.43.246.4100.0
昭和6年上半期普通貯金1,220
56,156
46.0
11,277
747,873
66.3
1,023
54,631
53.4
27,901
1,197,154
42.9
41,421
2,055,814
49.6
2.736.42.758.2100.0
据置貯金46
23,460
510.0
809
772,538
954.9
47
46,084
980.5
1,619
2,139,770
1321.7
2,517
2,981,853
1,184.7
0.825.91.571.8100.0
定額積金25
13,824
553.0
2,396
763,818
318.8
112
26,935
240.5
3,266
713,222
218.4
5,799
1,517,801
261.7
0.950.31.847.0100.0
北門貯蓄銀行『業務報告書』(各期)より作成。