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道路整備の重点化

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 表5の目的別歳出の推移を見ると、昭和二十六年度を基準にとると、いずれの費目も大きく伸びているが、そのうち土木費の膨張を各年度の予算編成のあり方を踏まえて追うと以下のようになる。
 まず二十七年度予算は、道路事業と住宅建設に重点を置いた予算となった。このうち前者では、市の区域内にある国道、地方費道、市道の総延長六六〇キロメートルのうち、現在の舗装率三・七パーセント=二五キロメートルを四倍の一〇〇キロメートルにするというものである。そして本年度は八二〇〇万円を投じて南四条線、西三丁目線、西七丁目線、西一一丁目線など七線を新たに舗装するとした(道新 昭27・1・12)。
 こうした道路の舗装事業に対して、自動車や荷馬車など道路を損傷する恐れのある交通機関に対しては、「道路損傷負担金制度」を導入することにした。この制度は、前年度の道路維持修理費の三分の一以内を自動車や荷馬車の所有者に賦課するもので、初年度は三〇〇~四〇〇万円を見込んだ(道新 昭27・1・13)。
 二十八年度からは、「道路舗装八カ年計画」が発足し、道路の整備を重点施策の第一にあげた当年度予算では、土木費が総額二億二〇〇〇万円計上された(表5)。主要事業は、昨年度に続いて南四条線、北三条線、西七丁目線などの舗装事業であった。また都市整備事業として、二十八年度から五年計画で戦後初の区画整理を実施した(道新 昭27・12・5)。
 二十九年度予算においては、翌三十年の国体を控えて、前年度からの「八カ年計画」を進めるために、前年度の六倍もの道路舗装費を予算化した(土木費全体では一億一九〇〇万円の増額 表5)。ちなみに市計画課は、三十年一月に「道路白書」を公表している。それによれば、市の許容将来人口は、一人あたりの占有面積を中心部と周辺部でそれぞれ三〇平方メートル、二六五平方メートルと仮定すれば、八〇万七〇〇〇人と推定され、近郊町村を合併すれば一〇〇万人を超える収容能力がある。その場合必要となる舗装道路面積は現在の三倍(一八・六平方キロメートル=約五〇〇万坪)にも及び、現在の時点ではその達成は容易ではないと結論付けている(道新 昭30・1・8)。
 その他、道路整備以外の重点施策としては、二十八年度から、総額七億四〇〇〇万円を投じて、下水道の新設六四キロメートル。側溝新設一〇キロメートル、同改修二〇キロメートルの完成をめざす「下水改修一〇カ年計画」を策定した(当時の下水道敷設網は昭和一~十六年までに整備されたもので、戦後は二十五年度から工事再開)(道新 昭28・3・19)。
 水道事業は、二十九年度から総予算八億四〇〇〇万円(初年度はそのうち一億三〇〇〇万円)を投じて給水能力を現在の二・七倍をめざす「第一期施設拡充計画」に着手した。同計画は、全額起債で総額八億四〇〇〇万円を投じて給水能力を現行の三倍増とするもので、元利償還のために水道料金の二割(五人世帯で二〇円)値上げが予定された(道新 昭29・1・20)。
 土木関係費以外の歳出科目で注目されるのは、二十九年度に大きく膨張する社会労働費で(前年度当初予算の一億四九〇〇万円増 表5)、生活保護費の増額(前年度の二倍)と住宅難解消をめざした市営住宅一四〇戸の新設費が総額の八五パーセントを占め(同年度『予算説明書』)、これらの増額によって同費は目的別経費科目の首位に躍り出た(表5)。
 特別会計では、二十九年度の交通会計が、市電の単線区間の複線化、車両の購入、車庫工事などで五〇パーセントもの伸張を示した他、水道会計が六〇パーセントの増加となった(表6、道新 昭29・2・28)。
 こうした歳出増を賄う歳入面での変化を追うと、二十七年度では、市税の税率引上げによる増税は避け、固定資産の評価額の調整による増収を図ったが、これだけでは不足をきたすため、水道料、屎尿汲取り料、高校授業料など使用料・手数料を値上げして三三〇〇万円の増収を期待した(道新 昭27・3・1)。
 二十八年度では、固定資産評価額の引上げ(土地三割、家屋四割)に伴って同税が対前年度比で二一パーセントの増加となり、加えて市電・市バスの乗車料金、火葬料、墓地使用料、市立病院の診療費など各種手数料も軒並み値上げされた(道新 昭28・2・22、2・24)。
 二十九年の地方税法改正によって、タバコ販売価格の一一五分の一〇を市町村に交付するタバコ消費税が三十年度から新設されて、市は一億二九〇〇万円の収入を見込んだ(表4)。しかしその反面、市警察の廃止と道への移管(二十九年七月)に伴って、法人市民税所得割一億一〇〇〇万円など市民税の減少分で一億七二〇〇万円、現行の固定資産税率一・六パーセントが〇・二パーセント切下げられることによる減収分が三一〇〇万円、合計二億三〇〇万円の減額が見込まれた。このうち市民税の所得割については、市は当初税率引上げ(所得税額の一八パーセントから一九パーセントに)を予定していたが、自然増収が七〇〇〇~八〇〇〇万円期待されるために当年度予算への導入は見送り(道新 昭29・1・8、2・3)、三十年度には五パーセント税率を切り下げた。