札幌では二十年十一月二日、GHQや道内労組の動向を報道していた北海道新聞社(以下道新)で本社編集局主体の従業員組合が初めて誕生し、ついで夕張製作所札幌工場に職員・工員混合労働組合が、そして労組法公布の翌日には金子鉄工場従組が結成された。同月、石炭統制会北海支部でも職員組合が誕生し、炭鉱労組の攻勢に対抗して結成された北海道石炭鉱業連盟の事務局長を兼務する勤労部長が組合長に就任した。二十一年に入ると、北海道帝糧勤労者組合のように、経営側の支店長以下全従業員からなる組合も結成され、市内民間最大の帝国繊維札幌工場では、総務課長が従業員有志に対して「労働組合と民主主義」と題する講演を行ったのを機に準備委員会が組織され、職・工混合の従業員組合の誕生となった。同従組の、「吾等は戦史に未だ見ざる惨敗に依る困苦を忍び一切の障碍を蹴って建設的生産経営の確立を計る」で始まる結成大会宣言は、当時多くの組合で活用した三菱美唄炭鉱労組設立宣言を簡略化したものであった(資料北海道労働運動史　終戦─講和、以下資料北海道労働運動史)。
　その後も、占領政策に保障された労組結成の時流に乗り、各種企業や事業所で表19のように組合が蔟生した。職員と労務(工員など)の区分が一定ではなく、一部に全道組織が入り混じり、また、設立年月日が他の資料と異なったり、実体不明や組合員数が不確定の組合もあるが、札幌一般労組や琴似自由労組など一部を除くと企業別・事業所別組合がほとんどで、職制の強い炭鉱とは異なり職員・労務の混合組合が多いのが特色である。設立経過は多様で、経営側からの示唆や財政支援による組合創立も多く、綱領や規約も、事業所産報の母体であった労資協調機関規定の焼き直しに近いものであった(札幌市における敗戦直後の労働運動)。