様々なひとが暮らす街。
ひとりひとりの日々の暮らしからそれぞれの物語が紡がれ、街の歴史を織りなしていく…
そんな物語の軌跡を区民インタビュアーがたどります。
4 行き届いたまなざしで「若者支援」の場を生む
生涯学習施設であるみらい館大明の事業は、「地域づくり」と「学び」を二本柱としている。前者では、小学校時代から続けている夏祭や花火大会など地域交流、防災拠点の場として機能している。
「かつてPTAが1日だけプール開放をした時に子どもたちとスイカを食べて花火をしたことがあったので、みらい館大明になっても花火大会を続けようってことになったんです。一番すごかったのは3.11(※6)の時。それまでは300人ぐらいだったのが、680人も来たんですね。お母さん同士、メールで連絡し合ったみたいです」
「地域づくり」の別の軸である貸し出し事業では、のべ1500もの団体が利用してきた。ドラマやCMなどの撮影にもよく使われ、運営を支える。
「子どもの団体や立教大学の学生には、無償で貸すようにしてます。子どもの夏休み講座では、子どもを育てるのが好きな人が本当に安く講師を引き受けてくれて。あとは、スタッフが講師になってクリスマスリースづくりやおひなさまの飾りづくりなんかもしてくれてます。青年館からは引き続き活動している20団体ぐらいが利用してて、特に劇団はずっといて協力もしてくれますね。劇団さんって、構成員の居住地がバラバラだから、自治体の施設が使えない。だからうちには、地域の垣根を越えていろんなところから来てくれるんですよ。群馬、埼玉、山梨、茨城、栃木、横浜……この間、千葉から2時間かけて来る人に『偉い!』って拍手してあげました。ここは豊島区の施設だけど、NPOだからどこの方でもウェルカムなんです」
もうひとつの柱「学び」では、子どもから大人までが学べる場を目指してきた。中でもここの特徴となったのが、若者支援の取り組みである。
「長年いろいろやってきて、小さい子もお年寄りも来るけど『真ん中』がいないよね、豊島区ではどうしてるんだろう? って思ったんです。豊島区と一緒に若者のために何かしなくては、っていうことで若者支援が始まりました。若者の居場所づくりですね」
H181021プレスリリース
じつは、杉本さんの言う「真ん中」世代――高校生から30歳前後の若者は、行政の支援が届きにくい。みらい館大明では、もともと青年館の機能を引き継いだこともあり、若者への目配りがしやすかった。平成25(2015)年には、若者の居場所として旧図書室を「ブックカフェ(※7)」にリニューアル。引きこもりや退学などの予防対策でもあったが、利用者にとって社会とのほどよい接点になり、大人にとってはいい刺激にもなっている。
「ブックカフェに来ていた子の何人かはスタッフになりました。別の場所でやりたい仕事をしてる子もいて、たまに顔を出してくれるんですよ」
関連資料:R010627プレスリリース
詳細:「ブックカフェ」ホームページ