としまひすとりぃ
ひと×街 ひすとりぃ

様々なひとが暮らす街。
ひとりひとりの日々の暮らしからそれぞれの物語が紡がれ、街の歴史を織りなしていく…
そんな物語の軌跡を区民インタビュアーがたどります。


4 児童相談所へ寄せる複雑な期待

主任児童委員としてさまざまな家庭を担当するなかで、現在、東京都が所管している児童相談所(※7)の職員との話し合いがうまくいかず、頭を抱えたこともあった。
「姉妹の下に弟君がいるおうちで、弟君がお母さんのお腹にいるときだったかな。姉妹の父親が違うのね。夫婦間に性的虐待の問題があったから、姉妹を児相(児童相談所)に連れて行って施設に保護したんです。長女が小学校3年のときに弟君が生まれて、やがて中学校にあがるときに、まだ家に帰さないと聞いたので、児相に電話しました。両親にもなにかしらケアをしたほうがいいんじゃないの、って言ったんです。それで、月に1度、両親に教育を受けさせて、その報告をしてもらうことになった。
それから、長女が中学2年生になったとき、妹だけ家に帰すという話になったのね。いくら自分だけ父親が違う子だって、そりゃお姉ちゃんは怒りますよ。(児童福祉施設の)寮で暴れるようになって、姉妹2人とも(寮から)追い出されたの。その子たちは小学生から椎名町にいたから、お姉ちゃんだけ同級生とは別の中学校に入れてほしい、って私は言ったの。なのに、児相は同級生のいる中学校に入れちゃったの」

※7 児童相談所 児童福祉法に基づいて設置され、18才未満の子どもに関するあらゆる相談に対応する専門の機関。都道府県及び政令指定都市では必置施設となっているが、平成28(2016)年6月に公布された児童福祉法等の一部を改正する法律により、特別区も政令による指定を受けて児童相談所を設置できることとされた。豊島区では現在、設置に向けた準備を行っている。

多くの子どもたちの問題を扱ってきた白熊さんは、ひとり一人異なる状況に応じて個別に判断することが大切だと思い、この姉妹の場合も通学や家庭の居場所について彼女たちの気持ちを尊重したかったが、都の児童相談所の職員には白熊さんの言葉が届かなかった。
「私は、もうちょっと児相の職員に権限を与えて、危ないケースは(親から)引き離すとか、何らかの保護をする権限を与えたらどうですか、って言ったんですけど……。(担当者は)1人で何人もの子を受け持つから、なかなかよくなってないですよね」

子どもの問題を解決するには、地域を熟知している区と地域住民とが連携し、迅速かつ的確な援助を行うことが必要だと白熊さんは訴える。
「家庭に入るのは、警察権も必要になるし、ケアするときも大変。ちょっとした言葉でも引っかかるわけじゃない? ケアしてる側は『ケアしてる』って思いがあるから、難しい。言葉ひとつ、気をつけてほしいです。
だから、(都から区に所管が移り新設される児童相談所には)期待してます。私がもうちょっと若かったら、手伝いたいんだけど(笑)」

豊島区

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